寝耳に水とは言うけれど。 ページ3
サンサンと照った太陽の下。
幼い頃の私は日差しがあまり入らない森の中で迷っていた。
「ここどこ……」
見渡しても周りは木や草ばかり。
人間のような気配は感じず、モンスターボールの中にラプラスがいることも忘れ、私は泣きそうになっていた。
「ららん?」
私が歩くのをやめ、その場にしゃがみこむと後ろから綺麗な鳴き声が聞こえてきた。
「だれ?…!」
泣きそうな顔のまま私が振り返ると、その"ポケモン"は駆け寄ってきた。
「ららん…らんら!」
ピンク色のカマを持ったそのポケモンは、自分についてこいとでも言うように、私を見てから反対方向に向き返り、駆け出した。
「あっ!まって!」
.
.
.
__しばらくすると、あのポケモンセンターの独特な音楽が聞こえてくるようになった。
「もうすぐ…なの?」
私がそう聞くと、そのポケモンは「らんらぁ♪」と言って、カマで前を指した。
私は、このまま真っ直ぐ行けば良いってことか…と幼いながらも理解した。
「ありがとう!……あっそうだ!これ、あげるね!」
と言って、ポケットから私が出した物は"ビアーのみ"。
幼い私の身長で届く場所にあるきのみはあまりなく、これと他に数個しか取れなかったし、その数個も他の野生のポケモン達にあげてしまったため最後のきのみだったが、「おれーにっ!」と先程の言葉に付け足して渡した。
「ららん!」
ポケモンは凄く喜んでいるようにきのみを受け取った。
__だけだと思っていたら、そのポケモンは私が兄に「念のため!」と持たされた空のモンスターボールのボタンをカマで押し、自分から入っていた_
「あれ?!」
私は一瞬の出来事に頭が困惑し、一度確かめようと先程ポケモンが入っていたモンスターボールを投げた。
すると_
「ららん♪」
案の定、先程のポケモンがご機嫌に出てきた。
私が出したもののまだ困惑した頭で考えていると、
『ラランテス、はなかまポケモン。くさタイプ。
カマじょうの花弁からビームをはなつ。分厚い鉄板も真っ二つに切断する
威力。』
とポーチに入ったポケモン図鑑(兄の物)が喋り始めた。
ポケモン図鑑は急に喋りだし、ラランテスと言われたそのポケモンはニコニコしながらこちらを見てくる。
全ての事に困惑し、幼い私が取れた行動は_
「……ラランテスっていうんだね…!これから、よろしくね!」
笑顔でラランテスに挨拶するだけだった_
可愛い子には旅をさせよとは何事か。→←きっと未来は阿吽の呼吸。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:でんぱ | 作成日時:2020年5月5日 16時