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私は三人兄妹の長女として産まれた。
といっても、下にいるのは9歳も年下の双子だが。
母親は体が弱いものの芯の通った美しい人だった。
胸より下まである髪を横に束ねた母親の姿が好きで、
私もその髪型にしたのを覚えている。
父親は良くも悪くも真面目な人だった。
根からの仕事人間とかではないが、責任をとり過ぎる人で、
部下が失敗すれば自分を恨む感じの人間。
それでいてそれを家族に見せない人だった。
まぁ、母親は気づいてそれとなく甘やかしていたみたいだが。
下の双子は年が離れていたせいなのか、世界で一番可愛い子たちだと自慢だった。
私の後ろをトケトケと付いてくる幼い男女。
母親と体質が似てしまったのか体の弱い2人を、
誰よりも何よりも命に代えてもいいぐらい大切に守っていこうと決めた。
それが私の家族。
いつも微笑んでいる母。勉強も運動も出来る父。誰よりも可愛らしい双子。
幸せに溢れた私の家族。・・・家族だったもの。
風春「何故、何故・・・。伊吹っ!!」
母親の名前を叫びながら泣き続ける父。あの幸せを壊したのは自分だ。
だから泣き叫ぶ父に、壊れていく父に、私は何も言うことは出来なかった。
・
瞳「・・・・。」
カーテンから薄く入ってくる光に目を覚ます。
周りを見渡せば昨日着ていた寝巻きは下へと落ちていた。
瞳「・・・風春さん。」
身体に回されていた父の手をそっと外し、小さく揺らす。
それに父は薄く目を開けた。それに微笑む。
風春「伊吹・・・?」
瞳「おはよう。風春さん。今日もお仕事でしょう?シャワー入らなきゃ。」
風春「もう少し寝させろよ伊吹・・・。」
瞳「もう、知らないわよ?」
母がなくなったあの日から、父は壊れた。
私と母を重ねるようになって、一緒に寝て、
時々正気に戻っては泣き叫び、私へと矛先を向ける。
暴力を振るって、しばらくして母と重ねて止める。
その時には暴力を振るったことなんて忘れて、ボロボロになった私に向け、
母の名前を呼んで優しく抱きしめるのだ。
それが苦しくないといったら嘘になる。
でもそれが私の罪だから。
風春「伊吹ぃ・・・。」
瞳「甘えない。ほら、さっさと起きてね。」
そっと頬にキスを落とす。そして私は台所へと向かうのだった。
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柊 バレエとノブくん大好き(*;ω;*) - 風邪!!大丈夫ですか??おっお大事に…。早く元気にな〜れ〜! (2015年9月29日 20時) (レス) id: dd27d058c3 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - 柊 バレエとノブくん大好き(*;ω;*)さん» マジですか!?まぁしばらく父親は出れないと思います。父親とのデートは需要がないと思って考えていなかったのですが、いりますかね?更新がんばりますね! (2015年9月25日 18時) (レス) id: 86d9865710 (このIDを非表示/違反報告)
柊 バレエとノブくん大好き(*;ω;*) - てか主人公ちゃんと主人公ちゃんのお父様がデートしている所を写真とりたい(真顔)← ヤバイ。主人公ちゃんチラ見とか可愛すぎ← …。更新応援しますー! (2015年9月25日 0時) (レス) id: dd27d058c3 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮(プロフ) - 柊 バレエ大好き(・д・。)チラッさん» 海常の話し方をあまり理解できてないのでそういう風に言っていただけると嬉しいです!もう少し主人公ちゃんと絡ませられるようにしたいなーと思ってます(`・ω・´) (2015年8月24日 22時) (レス) id: 26b8097f23 (このIDを非表示/違反報告)
柊 バレエ大好き(・д・。)チラッ - 花蓮さん» おーやっぱイケメソなんですね(´∀`*) てか森山さんめっさカッコイイ ただのイケメソ(笑) 笠松さんのウブな所もかわいい← (2015年8月24日 9時) (レス) id: 57a0374e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花蓮 | 作成日時:2015年7月11日 20時