10.特別な人ではないけど、僕にとっては特別だった人 ページ10
「そーれーでぇ、坂口君の初恋の相手はどんな人だったのぉ?」
彼女は嫌なくらい、ニタァとしながら意地悪そうな顔で聞いてきた。
「別に、聞いても面白くないと思うけど」
あまり、言いたくなかったから僕はそう答えた。
「いいの!私が知りたいだけだし」
「…分かった、話すよ。えっと、まぁ本当に特別目立つような子ではなかった。そこそこ可愛い顔はしてたし、身長が高く足が長くてスタイルも良かった。頭も良かったけど。運動は、走る事は得意だったけど、ボール投げは苦手だった。同じ学年に彼女を好きな子が6人ぐらいいた。
リーダータイプではなかったかな?推薦で学級委員やってた事もあるけど。進んでやってはなかった。
それでいて、物静か。友達は多かったみたいだけど、トラブルが多かったみたいで陰口、悪口をよく言われてた。
だからなのか、一人を好んでいて、読書好きの子。とりあえずおしとやかだった。
それから、一番好きだったのは、彼女の生き方だった。華みたいに凛としてるところ」
そう、僕は長々と話した。
「ふーん、なんか普通だね」
彼女はそう言った。何だか、そう言われた事に腹が立った。だから、面白くないって言ったのに、言わせるだけ、言わせといて……。
そう、カチンときてしまって、何か反論しようとした時。
「けど…」
けど?
「話しか聞いてないけど、何だかその子に憧れる。
きっと、陰口を気にしてなかった訳ではないと思う。けど、自分らしくいようと凛と生きてるとか。同じ、女として尊敬する生き方。…ちょっと待って、やっぱり違う、女じゃない、人として尊敬する生き方」
そう言って、彼女は華のようににこやかに笑った。
……ああ、これだから彼女は………
…ううん、やっぱり、今は良い。
けれど、今思うとやっぱり『彼女』は僕にとって特別だったのかもしれない。
11.いや、だから君の話を聞きたいなんて一言も言っていないし、思っても無いんだが→←9.男女の友情は成立するのかしないのか
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作者名:レイ | 作成日時:2017年3月12日 17時