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11.いや、だから君の話を聞きたいなんて一言も言っていないし、思っても無いんだが ページ11

「あ!坂口君にばっか喋ってもらうのも、失礼だから、私の話もするね!」


彼女は、そうにこやかに言った。

失礼だから言う、と言うよりも自分から言いたがっているようだ。




「いいよ、別に言わなくて。興味ないし」


別に、聞いても僕に得はないので素直にそう言った。
そうすると、彼女は予想通り不機嫌そうな顔をして僕を見た。


…そして、何かを思いついたかのように、口を開いた。

なんだか、さっきの不機嫌そうな顔から一瞬で一変して、明るい顔になり、満面の笑みが溢れている彼女に、本当は安心するべきなのだろうけど、僕は、





ツゥ





と、背中に一筋の汗、冷や汗が垂れた。


きっと、僕は今とてもひどい顔をしているのだろう。





そんな僕にはお構いなく、彼女はその形の整った唇から、言葉を発した。








「あぁ、そっか坂口君。私の事が好きだから、聞きたくないんだぁ。そっか、そっか。私の過去の好きな人の話を聞きたくないわけねぇ」



はぁ、なんとなく予想はしていた。そんな馬鹿みたいな事を彼女は言うだろうと予測はしていた。彼女はとても分かりやすい。

あぁ、それにしてもなんと答えよう。



もう、ムカつくのを通り越して、彼女に僕は呆れている。

けど、とりあえず誤解を与えたくないので…




「分かったよ。聞けばいいんだよね、聞けば」



「もう!なんなの。そう言う時は

『うん、そうだよ』とか言うんでしょ!」



「残念ながら僕は、漫画に出てくる完璧な王子様じゃないからね」




僕がそう言うと、彼女は一つため息をついたけど、すぐに、まぁいいや!なんて言って、大きな声でまた話を始めた。

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←10.特別な人ではないけど、僕にとっては特別だった人



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作者名:レイ | 作成日時:2017年3月12日 17時

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