6.どの意見が、考え方が正しいかなんて誰にも分かんない ページ6
「……ごめん」
いきなり、彼女はそう言った。もしかしたら、空耳じゃないか、そう一瞬思ったけれど、それは確かに彼女の声だった。
「なんで、君が謝る?」
不思議に思って、彼女に僕は問う。
「……なんでって、それは………私の意見を君に無理矢理押し付けちゃったから」
私の意見?無理矢理?
僕には、彼女の言う事が、いまいち分からなかった。
さっき彼女が言ったことは、確かに正しかった。誤ってなんかいなかった。僕の考え方が間違っていたと僕も分かっている……。
「どういうこと?僕は君の言ったことは間違いなんかじゃないと思う。むしろ、君の言ったことは正しかった。周りの事を過剰に気にしすぎる僕の考えが間違ってた」
「それは、違う。世界には何百通りもの考え方が存在する。けどね、その考えのどれが正しいかなんて分かんない。どれが、正しいのか確かめる方法も何にもない。だから、自分の考えを押し付けた私は間違ってた」
そう、彼女は言った後、
「勿論、君も間違ってた」と言ってニヘラッと笑った。
なんだか、彼女の笑顔に安心した。よく、分からないけれど。
いや、そんな事よりも、分かったことがある。
やっぱり僕は馬鹿だって事。
そこまで、頭は悪くないとは言ったものの、やっぱり馬鹿だって事。
そして、
やっぱり、彼女の言うことは正しいって事。
光であるということ。
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作者名:レイ | 作成日時:2017年3月12日 17時