小夜曲5 ページ44
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幽霊見物から数日後、ノアは再びルシャナのもとへ向かった。
彼女はノアを見るなりリヴァイとのことを根掘り葉掘り聞きだそうとしたので、差し障りのない情報と交換に騒動について聞きだした。騒動はひと月ほど前から。初めは北側で、それから東側で見られるようになり頻度も週に1、2度だったのが毎晩というふうに次第に増えていったとのこと。衛兵たちは恐れをなして近づこうとせず、実害もないので誰も対処しないらしい。
調査兵団の本部に戻ったノアは情報を整理しようと自室へ向かおうとするところでリヴァイを捕まえた。セレナのことを口に出すと、彼女の情報をいくつかくれた。貴族の中でも小さな家の3番目で肩書は姫でも上級妃にはなれない身分だという。歌が得意だが小心者で御目通りで失敗し目立った容姿でもなくいまだ御手付きもないらしい。
「それで、下賜される先は?」
「馴染みの憲兵だ」
そこまで聞いて、ノアの頭の中ですべてがつながった。しかし推測の域を出ないのでまだ話すのは憚られる。
「分かりやすい奴だなお前は」
考え込んでいたノアにリヴァイは何もかもお見通しだという目つきをしている。
どちらかというと思惑の分かりにくい性質だと自負しているのだが、と観念したように両手を挙げるノアのこめかみをリヴァイは小突いて先を行った。
夢遊病というのは実に不思議だ。
原因は心の軋轢であり、薬を処方したところで治らない。
妓楼にいた夢遊病患者は朗らかで詩歌の上手い妓女だった。身請け話も持ち上がったが、それは破談になる。毎晩妓楼を徘徊し始めたからだ。止めようとした主人は引っ掻かれ手の出しようがなかった。
翌日他の妓女たちが詰め寄ったが、素足に泥をつけた状態で彼女はけろりとこう言った。
『あら、皆さんどうしたの?』
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寿司(プロフ) - 如月さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉、とてもありがたいです。続編についてですが修正のため一時公開を制限しておりました。只今パスワードを解除しましたのでお知らせいたします。これからもよろしくお願いします。 (12月15日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
如月(プロフ) - とても好きな作品でいつも続きが気になっています。続きが気になって読みたいのですがパスワードを解除することはできないでしょうか? (12月15日 17時) (レス) id: a8542e33a5 (このIDを非表示/違反報告)
寿司(プロフ) - アイカさん» コメントありがとうございます!拙文ではありますが楽しんでいただけると嬉しいです。 (11月21日 22時) (レス) id: 43549444da (このIDを非表示/違反報告)
アイカ(プロフ) - 自分の好きな漫画のクロスオーバー!!中々ない組み合わせなのでめちゃくちゃ嬉しいです!! (11月7日 21時) (レス) @page16 id: bda3c5db2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:寿司 | 作成日時:2023年10月14日 23時