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正直なところこれは賭けだった。
「会いたくなかった。」ときつく言ってきた彼女が俺にもう一度会ってくれる自信は無かった。
それでもあの手紙を入れたのは、Aさんの目を見てきちんと話をしたかったからだ。
だから彼女が昼休みに屋上に来てくれた時は我ながら驚いた。
「久しぶりだね。」と声を掛けると少し間を開けてから「そうですね。」と返ってきた。
今俺はちゃんと笑えているんだろうか。来てくれた喜びと緊張できっとぎこちない笑い方をしているに違いない。
挨拶をしてから、しばらく沈黙が流れた。とても気まずい空気になっている。
何か話さなければ。と思い口を開いた時、彼女が言葉を発した。
その声は少し震えていた。
「この間はごめんなさい。
嫌な事言っちゃって傷つけてしまって。」
俺は申し訳なさそうに頭を下げるAさんの肩をぽんと叩いてこっちを向かせて「気にしないで」と伝えた。
「俺の方こそ、あの時は大きな声を出して腕をきつく掴んだりしてしまってすまなかった。
あの後腕は痛めたりしていないか?」
自分が彼女にした事を改めて言葉にするととんでもない罪悪感が込み上げてくる
口の動きを読んで貰いやすくするために出来るだけゆっくり、はきはきと問いかけた。
すると彼女はさっきよりも震えた声で言った。
「...赤司君は優しいですね。
こんなに優しいのは
私が耳の聞こえない障がい者だからですか?」
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ハルシオン(プロフ) - あかりさん» お待たせしてしまい申し訳ないです!マイペースな更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2020年4月26日 9時) (レス) id: 30d10de691 (このIDを非表示/違反報告)
あかり - 久しぶりの更新ですね!ずっと待ってました!これからも応援してます。 (2020年4月25日 19時) (レス) id: 5afa9add86 (このIDを非表示/違反報告)
ハルシオン(プロフ) - さそりさん» 文通してる気分になっていただけるなんて光栄ですありがとうございます!これからものんびり無理のないように更新していきますのでよろしくお願いします! (2019年9月24日 22時) (レス) id: 30d10de691 (このIDを非表示/違反報告)
さそり - 最新まで読みました。赤司君との、ぶんつう(手紙交換)をしてるような気分になってます!!面白いです!!これからもゆっくり更新頑張ってください!! (2019年9月23日 9時) (レス) id: 1ae7afba2c (このIDを非表示/違反報告)
ハルシオン(プロフ) - 静華さん» ありがとうございます!のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いしますです|ω・) (2019年9月22日 20時) (レス) id: 30d10de691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルシオン | 作成日時:2019年9月14日 23時