3ー3 ページ23
『くっ…!!』
気絶している男の何たる重さか
毛皮の上まで引き上げ火を起こす
『……』
自身の首に伝う汗を拭う
安心するのはまだ早い
濡れた服はどんどん体温を奪う
だがとても服を脱がせられる状況ではない
『なにこれ…っ』
ふくらはぎに巻かれた布に忌々しさを感じながらボタンを外しそれを絞りかかとに敷く
脚絆(きゃはん)とはーー
歩行の便のため、すねに巻いてまとうもの。特に、小幅の長い布を巻き付けて、ひもでとめるの「巻き脚絆」と言う
そして靴と靴下を脱がせた
低体温症の場合、中心から暖めなければ心臓の負担でショック死する可能性がある
首裏、けい動脈辺りに自身のハチマキを当て体温を奪われることを避け
熱が出た時冷ますといいと言われる首や脇の下や膝辺りを逆に暖め足のそばにも火を焚いた
『タオルがないからこれで許してね』
上着とシャツのボタンを外し拭くものがないのでアットゥ(シ)アミ(プ)で体についた水分を拭き取ってゆく
体を見て触れて気づいてしまった
『………この人…引っかき傷がない』
獣に襲われれば噛み傷や引っかき傷があるはずだが顔と腕以外に外傷は見当たらない
雪で足を滑らせ単身事故に見舞われたか
とにかくこの人の低体温症を回避させたら病院まで連れて行く手立てを考えなければ
それよりコタンに連れて行った方がいいだろうか
『さむ…!!』
防寒具は全て男に使っているため焚き火に体を近づけた
とにかくもう日が暮れる
動くことはできないので簡易的な仮小屋を建てよう
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