問題児 ページ6
.
西日が眩しく生徒会室に射し込む中、1人黙々と山積みになったプリントをホチキスで止めていく。
その隣には会長さんの席に座って回転する椅子をぐるぐると動かしているおそ松くんがいた。
「あの、おそ松くん、」
「ん?なに?」
「……帰らない、の?」
「…なんで?」
「へ?」と私の質問にしてはおかしい返事に思わず変な声が出る。
質問に質問返し…ですか?
そんな私の小さな焦りも気にせず彼は「だって、」と話を続けた。
「帰ったって何もやることねぇし」
「…課題とかは?」
「んなもん、やるわけねぇじゃん」
「えっ」
「それに、どーせやらなくたってチョロちゃんに見せてもらえば良いだけだし!」
ニヤッと悪い顔をしながらおそ松くんはそう言った。
問題児。とはよく聞いた話で。
おそ松くんの名前、というより松野家の長男という方が私の耳にはよく入ってきていたかもしれない。
職員室に行くと、偶に「どうして松野長男はあんなに問題ばかり起こすんだ…」と先生の会話の中から聞こえてくることがあった。
だけどその時はただ、チョロ松くんやトド松くんのお兄さんって結構問題児なんだなぁぐらいにしか思っていなくて。
特段気にしたりはしなかった。
でも、今こうして話をしていればどんどん彼が不良、とまではいかないけど"問題を起こす子"なんだなというのを実感する。
そうは言っても、さっき私を助けてくれたのもまた事実なわけで…
あの明るい笑顔とか気軽に優しく話しかけてきた姿とかを見ても、彼がそこまで悪い生徒だとは思えなかった。
「そういうのは自分でやらなきゃダメだよ」
「んえ〜チョロ松と同じこと言われたぁ」
「そりゃチョロ松くんは生徒会書記だし、頭良いし、私よりも真面目だから同じこと言うよ」
「……ふくかいちょー、チョロ松のことよく知ってんね」
「……まぁ、うん、、ってこれで話逸らそうとしないの!」
「あ、バレた?」といたずらっ子のような顔をしておそ松くんは私に笑いかけてきた。
.
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:れな | 作成日時:2019年3月14日 7時