初めてじゃない ページ5
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「そう言えば、それ、どしたの？」
「え？…あ、このプリントのこと、ですか…？」
「そーそー」
「えっと、先生に頼まれまして…」
「あはは」なんて乾いたような笑みを零すと、いきなり手元が軽くなった。
「……え？」
「副会長さん1人でこんなに持つのは大変でしょ？仮にも女子なんだし」
「え、いや、でも…」
てか、“仮にも”は余計な気が…
「いーのいーの！こういうことは俺みたいな男子がする仕事なんだから！気にすんなって！」
「いや、気にするとかそういうのじゃ……」
「ねー副会長さーん！これどこまで運べばいいの〜？」
「えっ？！ま、松野くん？！」
どうしようかと困っているうちに、いつの間にかそそくさと彼は廊下を歩き始めてしまっていて。
まだ運んでもらう、なんて言ってないのにとその場で少し焦る。
なんか、軽すぎるというか、自分勝手すぎるというか……
自由すぎて、私にはついていけない…
急いで走って松野くんのところまで向かう。
トド松くんとも、チョロ松くんとも違う彼は、なんだか、
今さっき初めて会ったばかりで、ついていけないと思っていたのに、あの2人と同じくらい、仲のいい友達みたいに思えた。
−−−
−−
−
「よいしょっと。」
「ごめんなさい、最後まで運んでもらっちゃって…」
「いいって！どーせ俺、帰っても暇だったし〜」
「松野くんは、部活とか入ってないんですか？」
「はいってないよ〜！だってめんどくさいんだもーん」
だ、だもん…って……女子じゃないんだから……
結局、あの後生徒会室までプリントを全部運んで来てもらってしまった。
これはなにかお礼をするべきだろうか…
「松野くん、ありが「あのさ！」…はい？」
「敬語、やめね？」
「え？」
「いや、だってほら、俺たち同じ学年だし、それに、」
「チョロ松とトド松にはタメなのに、俺には敬語っておかしくね？」と頬を人差し指で掻きながら言う彼。
確かにそれもそうだよなと思い、「いいですよ」とすぐに了承した。
「まじで？！じゃあこれからよろしくな！ふくかいちょーさん！！」
「は……うん、おそ松くん」
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作者名：れな | 作成日時：2019年3月14日 7時
