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「少しAと話がしたくてな、連絡もせず来たから無理かもしれないとは思ったんだが…」
「……大丈夫だよ」
「いや、でも今どこかに出かけようとしていたんだろう?」
「あー、まぁ、うん、でも食材を買いに行こうと思ってただけだから。今日中だったらいつ行っても構わないし。」
「それに今日は買い物以外他にやることないしさ」と最後に付け加える。
ここは彼の優しさに甘えてはいけない気がしたから。
カラ松くんは人一倍優しい。
だけど時々、その優しさが痛くて辛いなと感じる時がある。
まさに、今がそれ。
自分のことは後回しにして、人のことを優先する。
周りからしたらとてもいい人だし、有難いとでも思うのだろうけど、彼はいつも人に譲ってばかり。
そんな優しさ、相手には良いけど彼にとっては全然良くない。
たまには我が儘を言ってもいいと思う。
だから、今、この時は、カラ松くんのこの優しさを彼に返してあげる時だと思った。
「話、聞くよ?」
「……いいのか?」
「うん」
カラ松くんは少しの間黙ると「すまないな」と眉を軽く八の字にしながら微笑んだ。
そんな顔、させたかったわけじゃないんだけどな。
「公園にする?」と言えば「あぁ、俺はどこでも構わないぞ」となんとも彼らしい返答をされた。
やっぱ優しいところは変わらないか。
2人で肩を並べて公園に向かって歩く。
相変わらずイタいカラ松くんに、“彼”とは違うこの雰囲気も好きだな、なんて思う。
公園に着くと、近くのベンチに2人並んで座った。
「……早速なんだが、」
少しの間を作って彼は言葉を紡いだ。
それが私の心を驚かせる最大の理由になるとも知らずに。
「…………Aはおそ松のことが好きなのか?」
ゴクリとどちらのかわからない、唾を飲み込む音が聞こえた。
嫌い、ではない。でも、だからと言って恋愛感情として好きという訳でもない。
「…………ううん、好き、なんかじゃない、よ」
ただの友達。ただのクラスメイト。ただの同級生。
それが彼と私の関係。
それ以上にもそれ以下にもならない、というかなれない。
変えるなんてこともお互いにしないし、できない。
私たちの関係は、もう中学の頃からずっと同じだ。
なのに、なんで……
なんで「好きじゃない」と言った時、
声は掠れて、言葉も詰まらせてしまったのだろうか。
どうして、こんなにも、
胸が苦しくなるほど痛いのだろうか。
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れな(プロフ) - しっぽうさぎさん» 素敵な感想ありがとうございます!とっても嬉しいお言葉ばかりで…書き手冥利に尽きます´ `* これからもまったり更新ですが最後までよろしくお願いします!高校時代はまだ公式さんから何も言われてなかったので、自由に想像しながら書けてたんですけど…焦ってます;; (2019年2月16日 9時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
しっぽうさぎ - 読み始めた瞬間『あ、この作品好きだ。』と感じました。久々の感覚と、久々に好みな作品を見つけられて最高に嬉しいです。関係無い話ですが、私も前におそ松さんの学生ストーリーの作品を作って、あら公式と違うわとなりました。…共感です。笑 (2019年2月14日 18時) (レス) id: dc9d359d93 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 来夢*゚さん» 初めまして。素敵な感想ありがとうございます!キュンとくる内容になってるか微妙だったのでそう言って貰えてとても安心してます。のんびり更新な感じではありますがどうぞ最後までお付き合いよろしくお願いします ^ ^ (2018年5月6日 6時) (レス) id: f22e3e55d7 (このIDを非表示/違反報告)
来夢*゚(プロフ) - 初めまして。学生特有の甘酸っぱい恋物語に当方毎回楽しみにしながらキュンキュンさせてもらってます(〃ω〃) これからも頑張ってくださいね。応援してます! (2018年5月5日 16時) (レス) id: 522dbc585e (このIDを非表示/違反報告)
万珠沙華(プロフ) - レスありがとうございます!! (2018年4月22日 20時) (レス) id: a8300dcf2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れな | 作成日時:2018年4月19日 19時