自由系女子は止まらない

《喧嘩》2 ページ13

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「ごめんなさい、悪酔いしました」



「お、おう…ちょっとは落ち着いたのか？」




がおたんの話によると私はしばらく泣き叫んだ後、嘔吐してフラフラ徘徊しだして…

まぁとにかく最悪だったらしい。





普段こんなことになることはない…はず。
それもこれも征君との喧嘩が原因だ。




「ごめんね、ほんと」


「あー、もういいって。気にすんな」


「あ、そうだ。お金…」


「いい。ほら水飲め」



がおたんに深夜の公園のベンチで水を差し出されるなんて
こんな状況想像したこともなかった。



「で？
なんで喧嘩したんだよ」


「…いや、別に」


「お前まさかここまで手焼かせて話さないわけないよな？」


「うっ…」




マスターとは違って遠慮なんて知らないがおたんに普段なら答えることはないけど
今日はさすがに迷惑かけすぎた。


それにやっぱり、私は誰かに聞いて欲しかったのかもしれない。




「あの、ほんと…くだらないことなんだけどさ」


「おう」



私らしくなくハッキリしない物言いでも
がおたんは急かしもせず、ただ相槌を打って



「話せば楽になんだろ。
酒に逃げるよりはいいんじゃねぇの」



なんて、いつの間にこんなイイ男風になってんだか。




「征君は優しいんだ。
優しくて、まさに大人の男って感じ」


「あ？お、おう…」


少し納得いかなさそうながおたんに苦笑いをして
冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んでみる。



「私もね、大人のつもりだった。
学生の時だってヤキモチなんて妬かなかったし
征君に釣り合う女だと思ってた」



違った。
そんな女じゃなかった。


征君の隣にいる為に大した努力もしてこなかった私は
だんだん成長して大人になっていく征君に取り残されたみたいで

そんな征君に好意を寄せる人達に初めて焦りを覚えた。



「不安、だったの。…私じゃ、釣り合わないんじゃないかって」



だから

『私のことなんて放っておけばいいでしょ。
代わりなんていくらでもいるくせにっ…！』


気づいた時には遅かった。

後悔する暇なんてなかった。

いつもみたいに優しく『そんなわけないだろう』って
抱きしめてくれる腕はなくて

『Aの気持ちはわかった。
好きにしろ』


あんなに冷たい声を掛けられたのは初めてだったかもしれない。





「っ…、馬鹿だよ。大馬鹿だ。
結局こうやって…何かに逃げることしか出来ないんだもの」



こんなに泣いたのは、久しぶりだ。



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