しゃる・うぃー・だんす?/4 ページ14
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急いで階段を駆け下りると薄ぼんやりした空が頭上に落ちてくるような錯覚に陥る。“ そういう薬 ”ではない筈だが。この際関係ない、彼女から一刻も早く離れなければ。
こんな天気だからか、噴水に深海くんはいない。都合が良かった、誰もいないのなら。霞んできた視界でやけにはっきりと雨粒が見えた。
ずん、と体の中心を突き抜くような感覚がして、足に力が入らなくなる。重力に沿って崩れ落ちて、硬い地面に打ち付けられた。死刑宣告された重罪人はこんな気持ちなのかなんて、呑気に考えてみたり。そんな場合じゃないことは分かっているけれど、なんだか心の底から笑えるような気がしている。
___もう、声すら出ないけれど。
また明日。またあした。明日、なんて来るのは何時だろうか。
これで全部終わる。薬をくれた夏目くんにもう一度感謝しなければならない。否が応でも思い出せる、目瞠した彼女の表情と、泣き出しそうな声色。背景の空模様と妙にマッチしていて、不気味で、そして美しかった。もし勘違いでも、これなら大歓迎である。
君は少しでも、俺を見ていてくれましたか。
もうシャットダウンされた体で、最期に聞いたのは彼女の声であった。
「 せんぱい、 」
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あぁ、やっぱり俺、かっこ悪かったですかね。
でも、別れの言葉さえも君の表情が染み付いていたんです。そんな表情じゃなくて、もっとずっと晴れやかな。
俺の手を取って踊ってくれた、君のことが。
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苺果汁(プロフ) - とくめい様、ねむい様、素敵な作品をありがとうございました! (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
苺果汁(プロフ) - コメント失礼致します。殆どの夢主やあんスタキャラが自殺を選ぶ中で三毛縞さんだけが彼女の幸せを願って生き続けることを選んでいるのが胸に刺さりました。三毛縞さんのソロ曲が彼の本心であるのなら本当にそう行動しそうだなと思い、思わず涙が出てしまいました; (2018年11月6日 0時) (レス) id: d7b47249f9 (このIDを非表示/違反報告)
ねむい(プロフ) - まめだいふくもちさん» わああまめさんありがとうございます光栄です…!コメント見た瞬間息止まりそうでした本当にありがとうございました…! (2018年3月21日 8時) (レス) id: f7d54c694c (このIDを非表示/違反報告)
まめだいふくもち(プロフ) - コメント失礼します。お二人とも好きな作者さまなので、お二人の合作短編が読めてとても嬉しいです。忘愛症候群という切ない題材を繊細な文章で書き上げられていて、どの話も素敵でした。作品を書いてくださってありがとうございました! (2018年3月18日 21時) (レス) id: 8f73a5bd97 (このIDを非表示/違反報告)
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