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｢そんなにおちこまなくても、だいじょうぶです。それに、れいたちのことを、かんがえて、あえて『きびしく』いったんでしょう？
れいもそれは、わかっていますよ｣
｢………うん、ありがとう｣
ニコッと笑えば、ふふっと笑った奏汰くんは、もう一度私の頭撫で｢いいこ、いいこ…♪｣と笑った。
｢もう、やめて？………そろそろ私は出るわね、職員の人に見られたら怒られちゃう…てか、この格好も怒られそうだけど｣
水切りをある程度し、何か服を貸して貰えないかと保健室に行こうとした最中、生徒や先生に見られないかドキドキしていたが合わなくて良かった。
とりあえずトイレに行きもう一度、ジャケットに含まれた水を絞り腕に掛け廊下へと出た途端人にぶつかってしまった。
｢………えっ？！｣
｢ぅ…あ、あら、ごめんなさい…ぶつかってしまって｣
｢えっ？いやなんで濡れてるの？！てかめっちゃ可愛い女の子だし！｣
｢えっ？｣
｢ああ、どうしよう。今俺バスタオル持ってないんだよね｣
｢ふふっ、バスタオル持ってたら逆に笑っちゃうわ｣
少し驚いているのか、焦ってるみたいだ。
｢ごめんなさい、びっくりさせちゃったわよね……えっと、羽風くんよね、羽風薫くん｣
｢えっ、俺の名前知ってるの？…あ〜てか下着透けちゃってるから俺の上着羽織って？｣
｢……あ｣
今更気づいたの？と羽風くんは笑い上着を肩にかけてくれた。
｢ごめんなさい、濡れちゃうわよね｣
｢気にしなくていいよ……♪と言うかなんで全身ずぶ濡れなの？｣
｢あ、えっと…噴水に落ちちゃって…｣
｢えぇっ？！大丈夫？怪我してない？｣
｢だ、大丈夫よ……｣
なんだろうこの子、今まで会ったことないタイプだ…。何となく優しいと言うか……いや、優しいのだが普通ずぶ濡れの女に…しかも初めて会った女に優しくしてくれるなんて……………
｢は〜い、この上着は羽風くんに返して我輩のを羽織ると良いぞ…♪｣
｢｢っ？！？！？｣｣
｢さっ、朔間さん？！ちょっと！驚くでしょ、急に出てこないでよね｣
｢れ、零くん？｣
零くんは羽風くんの上着を捨て自身の上着を掛けてきた。
｢いやいや俺の上着捨てないでよ！！！！｣
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作者名：X | 作成日時：2023年5月5日 21時
