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未経験者はザワザワしだし何が起こったのかわからない様子だったが竹早とAは顔を顰めた
トミー先生「みんなに見られてて緊張したのかのう……さ、もう1回じゃ」
鳴宮「(治ってなかった)」
トミー先生「弓道では必ず一度に2本か4本矢を射ることになっておる」
再度矢を番えるが手は震えガタガタしている
鳴宮「(治ってなかったんだ)」
瞳には動揺が表れ、的ではなく矢を見たりとして動きが揺れており弓を引き分けるのにもぎこちなさがあった
鳴宮「(あの時から、ずっと)」
鳴宮の脳内に去年、中学生で出場したとある大会の様子が残る……
弓を引き終えた鳴宮は着替えてロッカーを締めた
小野木「おい、さっきの射はなんだよ。真面目にやれよ」
苛立った様子の小野木は鳴宮に問い詰めた
鳴宮「だから無理って言ったろ」
そのまま横切っていく鳴宮が癪に障ったのか小野木は声を荒げて湊の肩を押し止めた
小野木「そういう話じゃねぇ！あんな雑な射しやがって、弓引きとして恥ずかしくないのか？！」
すると鳴宮は悔しそうな顔をして「俺はもう弓引きじゃない！！」と言い放った
その声が外にも聞こえたのか扉に手を掛けようとした竹早は動きが止まる
扉を開けて帰ろうとする鳴宮に小野木は静止の声をかける
鳴宮の前に立ち塞がる竹早の後ろには心配そうな顔をする山之内
山之内「湊、具合悪かったのか？」
鳴宮は反応せず借りた体操服を竹早に押し付けて去っていった
竹早は追おうとする山之内の腕を掴み止めた
トミー先生「竹早くん、彼はもしかして……」
竹早「早気です」
早気……会の状態を十分に維持しないうちに矢が離れることを指す
鳴宮が放った2本目の矢は安土にすら届いていなかった……
A「森岡先生、見学会終了の時間です」
鳴宮の後で弓を引いたAはトミー先生に話しかけた
トミー先生「おや、もうそんな時間かのう」
トミー先生は未経験者を帰らせるために道場へ戻った
小野木「ああ！九条の射型見過ごした！」
苛立っていた表情から残念そうな顔をする小野木を見たAは「(これから毎日見ることになるのに)」と微笑んだ
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作者名：奏 | 作成日時：2023年1月24日 8時
