九条の貴婦人 (ページ40)

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中崎の手の中にあるのは黄緑色のハチマキの束

山之内「ハチマキ？」

如月「俺たちに？」

中崎「意気地のない自分の背中を押してくれた礼だと……俺にはこれを渡さない選択肢も事故のことを知らせずにこいつを渡す選択肢もなかった。だから、正直に言わせてもらった。すまん」

そういってハチマキを前に出した

竹早「いえ、ありがとうございます。知らずにいた方が多分、後々のショックが大きかったと思うので」

中崎「そういってもらえると助かる」

竹早は中崎からハチマキを受け取りみんなに1人ずつ渡していく

受け取った部員はハチマキを見て悲しそうな顔をした……

男子個人戦が終わり次は女子個人戦、Aと妹尾はスマホと向き合う男子を心配そうに見つめ会場へと向かった

2人の出番が終わった後も男子はすぐ待機場所に戻りスマホと向き合う

トミー先生「やれやれ。まるでお通夜のようじゃな」

鳴宮「……トミー先生」

竹早「滝川さんのご実家とは？」

トミー先生「残念ながら誰も出んかったよ」

それを聞くとまたスマホで事故のことについて調べ始める

そのとき妹尾が戻ってきた

トミー先生「おぉ妹尾くん、個人戦決勝には残れず残念じゃったが良い射じゃったよ」

妹尾「ありがとうございます。今の私の実力通りの結果なので後悔はありませんが、それよりも彼らが気になります。団体戦もすぐに始まるのにあの様子では」

トミー先生「Aさんはどこかの？」

妹尾「……今の彼らの顔を見たくないようで。優勝したのにこんな空気で、Aが不憫です」

とうとう我慢の限界が来たのか白菊は男子に詰め寄る

白菊「あなた方！！いつまで腑抜けているつもりですの？！九条さんと妹尾の応援も上の空！九条さんに至っては優勝しましたのにお祝いの言葉を掛けず！団体戦のライバルが次々出てくる男子の個人戦も見ず！あなたたちはいったいここに何しに来てるんですの？！」

花沢「そうよ！！九条さんと妹尾だってコーチのこと心配なのにしっかり最後まで引き切ったんだからね！アンタたちが今しなきゃいけないことは何？！コーチが心配でスマホとにらめっこ？違うでしょ！！」

2人からの叱責で男子はハッとした