九条の貴婦人 (ページ24)

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山之内「九条さんって誰に教わったのかなー？すごい弓道うまいよね！」

鳴宮「おじいさんに教わったらしいよ」

すると外から話を盗み聞きしていた滝川が扉を開けた

滝川「こらぁ！！風呂タイム終了！下僕タイムの再開だ！！」

如月「ぎゃあぁぁ！！！」

日が沈み夕食のバーベキューを食べていた頃、Aは男子の仲が良くなった気がした

男子に雑用させた真意はこれだったのかもしれない……

来週からテストがあるため部活収めとしていつもより早く練習を開始していた

小野木「九条……その、弓返りってどうやんだ？」

A「弓返り？……それはやるものじゃなく自然とできるものだから焦らなくていいよ」

小野木に質問されたAはそう答えたが納得がいかない様子の彼に素引きの準備をするように言う

A「弦を引くと言うよりも弓を押す方を意識する、そして体を左右に伸ばし弓返りするのを待つ」

小野木「待つ？！」

滝川「Aが言ったように弓返りってのは結果であって目的じゃない。そこを取り違えると失敗する」

Aと小野木の会話を聞いていた滝川はそう助言する。弓を握る小野木の手に力が入ったのを見て滝川は一本引いてみるよう促した

滝川「遼平にも言ったけど手の内が大事だからな。弓を強く握ってしまうと当然弓返りはおきない」

小野木の放った矢は的に中りはしたが弓返りはしなかった

滝川「焦るなって……弓返りよりいかに正しい射をするかに集中しろ。ま、今の射型をいじらないのも1つの手だぞ……A、一本引いてくれ」

Aは頷き矢を番え弓を引いた

滝川「美しい射が中るとは限らない」

そのとき甲高い弦音と共に矢がまっすぐ放たれ的心に中る。もちろん弓返りもしている

滝川「が、正しい射は大概美しい……ていうのが俺の師匠の教えだ」

Aの射に見惚れていた部員は滝川とAの元に駆け寄り、自分の射について質問攻めをし2人の名前を呼んでいた

小野木「あーっ！！クソ！！なんでこれから休みなんだよ？！」

山之内「練習したぁーい！！」

そんな様子を見て滝川は大笑いをした。この空気はとても居心地がいいものだった……