検索窓
今日:15 hit、昨日:14 hit、合計:249,863 hit

シュウ ページ18

「"恨まないでいてくれてありがとう。そして、ごめんな。どうか、幸せになってくれ。俺は、お前を心の底から愛してる。"」

「これがお前の兄さん。シュウとの約束だ。」


あの日の出来事を全て話し終え、俺の横に座るAの方を見る。

Aは、静かに涙を流していた。


綺麗な瞳からは大粒の涙が頬を流れ、服の上にシミを作っていく。


『私は……私は兄さんがいなくなるのを、望んでなんかいなかった……!一緒にいたかったのに……!!』

「それほど、お前のことを愛してたんだよ。シュウがやらなければ、お前は死んでいたんだ。」

『っ……!!……でも…!』


ばっと俺の方を向き、さらに泣き始めてしまう。

Aにとってシュウは、とてもいい兄さんだったんだろう。


もしかしたら、俺があの時止めていたり、あいつに別な方法を考えてあげられていたら、こうなることは回避できたのかもしれない。


あいつの話を聞いておきながら、何もできやしなかったんだ。俺は。


「ごめんな。A。俺もこの話を聞いておきながら、シュウを止めることができなかった。お前を、お前の一族を助けてやれなかった。」


そう言って頭を撫でてやると、Aは涙を手で拭いながら必死に声を絞り出した。


『先生は……悪く、ない……。私が……私が悪いんだ……!私が……!』


拭っても拭っても、次から次へと流れ落ちる涙。

こいつ……自分が悪いって、"忌み子だから"ってことをさしてんのかな。


そう思うと、どうしても苦しくなってAを優しく抱きしめる。


「お前は悪くないよ。大丈夫。」

『でもっ……でもぉ……!!』


そこからAは、声を出して泣き始めた。

どれくらい長い間、溜め込んできたんだろう。辛い思いを抱えてきたんだろう。


でも、これからも、Aの胸にはこの出来事が残るだろう。


けど、その出来事を少しでも軽くできるような、楽しいことが増えていけばいいな。


しばらくしてAは泣き止み、泣き腫らした目で俺を見つめ、微笑んだ。


『カカシ先生。兄さんのこと、話してくれてありがとうございます。私、長いこと兄さんがなんで一族を殺して、私だけ残したか知りたかったんです。』

『私、兄さんのこと信じてて良かった。やっぱり、兄さんは優しい兄さんだった。』


その笑みは、無理して作っているようにしか見えなかったけど、Aの言葉は本心そのものだろう。


最後に一言また明日と言葉を交わし、お互いの帰路についた。

**→←約束



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
239人がお気に入り
設定タグ:NARUTO , 奈良シカマル
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- うおっめっちゃええやん・・・この作品一気に読み進めよー! (2021年10月6日 18時) (レス) @page2 id: cfd8dfa5f7 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - ミルク さん» まさか2年前の作品にコメントが来ると思わず、びっくりしてしまいました!昔書いたものなので今よりももっと拙い文章ではありますが、参考の域をこえなければ、参考にしてくださって構いません。私も嬉しい限りです! (2020年10月31日 16時) (レス) id: 1084e77889 (このIDを非表示/違反報告)
ミルク - 作品を読んで感動しました!作品を参考してよろしいですか?? (2020年10月31日 12時) (レス) id: 243dd4bfbb (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:藍夜 | 作成日時:2018年5月26日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。