三人の妖 ページ13
紫水と颯魔に夢中な二人を呼び、用意した座布団の上に座ってもらった。
『えーっと、今から私の友達三人をここに呼びたいと思うの。三人は人間を襲ったりしないし、いい妖だから身構えなくても大丈夫よ。』
「A。それは俺が会ったことがある妖か?」
『ええ。一人はつい最近会ったはずよ。』
あの少し煩い私の兄貴分のことだ。
…絶対何か言われそうね。やめとこうかしら。
でも言った手前呼び出さずにはいられないわね。しょうがない。
とりあえず全員を座らせたあと、私は静かに友人譜を開き、笛に唇を付けた。
…まずは、あの煩い奴からにしよう。面倒だし。
ある程度音を奏でていれば、私の周りに柔らかい風が巻き起こる。
そして演奏が終わった頃には、綺麗な緑色の髪と赤い瞳を持つ翠蓮が、そこにいた。
「なんだA。俺をわざわざ呼ぶだなんて。そんなに俺が恋しかったか?」
『馬鹿言わないで。私の友達が一時的に妖を見れるから、翠蓮を紹介しようと思っただけよ。
二人とも、こいつは翠蓮。少し前に校門に立ってた妖よ。』
「ほう。こやつらはAの友人か…。」
ジロジロと二人を見つめたあと、爽やかな笑みを浮かべてよろしくなと言った。
そして、とても嬉しそうにしながら二人の頭に手を置き、優しく撫でた。
「…ありがとな。夏目同様、こいつの友人になってくれて。」
そう言った翠蓮に二人は笑いかけ、私の良いところを事細かに翠蓮に話し始めた。
恥ずかしさのあまり顔を覆っていれば、ゆでダコみたいだぞとからかいながら翠蓮は去っていった。
……これだからあのバカ翠蓮は…!!
そう思いながらも、顔に集まった熱を冷ましながらまた次の譜面を探し、吹き始める。
同じようにして現れたのは、旅館で出会った女の妖、サヤギだ。
「お呼びですか、A様。」
『急に呼び出してごめんね。私の友人に、貴方を紹介したくて。』
サヤギは正座をしたまま二人を見つめると、ふわりと笑って自己紹介をし、また困ったことがあれば呼べといい帰っていった。
そして最後は、外に出ないとね。
皆を連れて外に出て、最後に彼の音を奏でる。
すると現れたのは、額に角が二本ある左銀だ。
「呼んだか、A。」
左銀にも同じことを説明し、少しの自己紹介を交わすとまた森に来てくれと言って去っていった。
三人を見た二人は、まだ興奮が冷め切っていないようだった。
楽しそうで何よりだな。
あの三人を紹介出来て良かった。
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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年10月18日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - この作品面白いです。更新頑張ってください!続き楽しみにしています。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 初めてこのお話を読みましたが凄く良いです!これからも頑張ってください!応援しています! (2019年9月2日 21時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 更新お疲れ様です!最近夏目友人帳にニャンコ先生関連ではまっていてこの作品もとても楽しませてもらっています!徹夜して読みましたww 体調に気をつけて頑張ってくださいっっ!! (2019年7月20日 15時) (レス) id: a81fa4594d (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - かなとさん» すみません、すぐに気づいて直してきました。ご指摘ありがとうございます! (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年6月7日 22時