人との触れ合い ページ14
それから祭りまでの一週間の間、朱羽は私の家にいることになった。
まあ一週間と言っても、次の日曜に行われるそうで、以前名取さんと泊まった旅館に土曜日の朝から赴くことにしたから、もうそこまで日はないのだけれど。
私が学校に行っている間は、朱羽は森に行ったり蒼葉達の手伝いをして、放課後は私が出てくるまで校門で待っている。
校門から私の姿をみつけると、すぐに駆け寄ってきてなんとも可愛らしい。
『朱羽、ただいま。』
「おかえり!穂ノ目!」
「あら、今日も来てたのね!」
「多岐!今日、遊ぶ!皆も!」
子供のようにはしゃぐ朱羽を見て、思わず笑みが零れた。
この子は人間が嫌いだ。
私が虐められていたこともあってか、私にずっと人間は嫌いだと言っていた。
でも、今はどうだろうか。
私と手を繋いで帰路につく朱羽は、夏目や私の友人達に囲まれ、楽しそうに笑っている。
私と同じように、人間嫌いだった彼がこうして人間と触れ合うことで、少しでも人間を好きになってくれたのなら嬉しい。
それから少し寄り道をして、綺麗な花が咲いている野原にやってきた。
「穂ノ目!見て!これ、笹田作った!こっち、多岐!西村、作るの下手。不器用。」
「何ぃ!?これでも精一杯作ったんだぞ俺は!」
「西村。小学生相手に意地はるなよ、みっともないぞ。」
花畑で花冠を作ってもらったのか、嬉しそうに私にそれを見せてくる。
読んでいた本から一度目を離し、朱羽に良かったねと笑いかければ、心地よさそうに目を細めた。
皆も良くしてくれてるし、居心地がいいのだろう。良い人間もいるのだと、知ってもらえたかな。
本にまた視線を戻し、聞こえてくる北本と西村のやり取りに笑みを零すと、ポスンと私の頭に何かが乗っかった。
顔を上げれば、そこには可愛らしい笑みを湛えた朱羽がいて、嬉しそうに自身の頭と私の頭を指さす。
「穂ノ目の、俺作った。俺と穂ノ目、お揃い!」
頭を触ってみれば、どうやら花冠が乗せられているようだった。
ありがとうと微笑みを返せば、より一層嬉しそうな顔をして、私のことを抱きしめてきた。
「穂ノ目、良かったね。穂ノ目の友達、皆良い奴。俺、嬉しい。良かった、良かったねえ。」
そう言いながら、朱羽は私の背中を優しく叩き、最後にニコリと笑って、また多岐達の方へと行ってしまった。
そうね。良かったよ、朱羽。
この人達と友達になれて。
君がこの人達と出会えて。
本当に、良かった。
105人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (2020年10月18日 11時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - この作品面白いです。更新頑張ってください!続き楽しみにしています。 (2019年9月27日 22時) (レス) id: fe959518f7 (このIDを非表示/違反報告)
蝶華 - 初めてこのお話を読みましたが凄く良いです!これからも頑張ってください!応援しています! (2019年9月2日 21時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
しろ(プロフ) - 更新お疲れ様です!最近夏目友人帳にニャンコ先生関連ではまっていてこの作品もとても楽しませてもらっています!徹夜して読みましたww 体調に気をつけて頑張ってくださいっっ!! (2019年7月20日 15時) (レス) id: a81fa4594d (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - かなとさん» すみません、すぐに気づいて直してきました。ご指摘ありがとうございます! (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍夜 | 作成日時:2019年6月7日 22時