守りたい、その笑顔。3【NARUTO】

ひとまずリタイア ページ5

｢フー何とかうまく逃げきったぜぇ…。｣


なんてボヤき、空を見上げる。


｢…とかって感じのキャラだったのになぁ…俺。あ！ちなみに、これが犬の足跡の正体ね。｣


近くに敵が来たことを確認し、影真似の術で捕まえ、そいつらの前に立つ。


やっぱあの試合はマズったな…。

…チャクラを使い過ぎた…。もう、そう長くはもたねぇ…。


1・2・3・4…8人…。
あの犬さんが言うには後ろから2小隊。しかも9人の追っ手がいる。

やっぱ9人目は、8人の忍者を待ち伏せから護衛する役目か…。

距離を一定にとって後方を移動し、敵襲に対応する…。


まぁしかし…どこに隠れてやがるか…は、これで…ハッキリするぜ！！


そうしてクナイや手裏剣を投げれば、斜め前の木からそれを防がれた。

その方向に影を伸ばすが、影は思うように伸びなかった。


…ここまでか…。


はぁ…俺はテキトーに忍者やってテキトーに稼いで…。

美人でもブスでもない普通の女と結婚して、子供は2人。最初が女の子で、次が男の子…。


長女が結婚して息子が1人前になったら忍者を引退して…。

…あとは、日がな1日。将棋や碁を打って、悠悠自適の隠居生活…。


そうして奥さんより先に老衰で逝く…。そんな人生が良かったのに…。


柄にもなく気張っちまったな…。普通で終わりたかったのによ…。めんどくせーことしちまったぜ…。


その時、ふと脳裏にAの姿が浮かび上がった。

あいつの笑顔と声が、鮮やかに思い浮かぶ。


……できるなら、あいつとずっと一緒にいたかったぜ…。


影真似の術が限界を迎え、切れたと同時にもう1人の仲間に背後を取られた。


｢ようやく追いついた…。｣

｢…アスマ…なんで…｣


木の上にいたやつは、アスマの脇に抱えられていた。

それからは早かった。

アスマが次々と敵を倒し、あっという間に全滅した。


俺は安心しすぎて、腰を落とす。


｢なんで、アスマがこんなとこ来たんだよ。｣

｢いやなに。お前の大切なガールフレンドから頼まれてな。断れねぇだろ。｣


ガールフレンド……Aのことか。


｢……まだ告ってねぇっての…！｣

｢まだ(・・)ってことは、とうとう告白すんだな？｣

｢……死ぬって時に、やっと分かったんだ。自分の気持ちがよ。｣


美人でもブスでもない普通の女じゃなくて、俺はAと生涯を共にしたい。

こんな大変な時に思うのは変かもしれねぇが……


このいざこざが終わったら、あいつに告白でもしてみっかな。

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