検索窓
今日:42 hit、昨日:7 hit、合計:120,063 hit

行ってきます ページ31

兄さんの術は、言っていた通り秘伝の術程は難しくなかった。

だけど、兄さんのような威力はなかなか出なくて苦戦した。


焦らないで一つ一つやったおかげで、ついに威力も強くなり、覚えることができたのだ。


「やっぱりAは凄いな。これは俺より強くなる…いや、一族一強くなるかな。」

『やめてよ、兄さん。私はそんなに強くないわよ。』

「自分に自信を持っていいんだよ、A。お前は強い。心も体もね。


誰かを守りたいって思える奴は強い。


俺はそれを知ってるから。」


そう言って兄さんは笑う。

兄さんだって、私を守ろうとしてくれてたじゃん。だから、兄さんも強いんだよね。


「そうだ、A。お前に俺の大切な短刀をあげる。家の倉にある細長い漆箱の中に入ってるよ。大切に使ってな。」

『なんでそんな大切なもの…。そのまま仕舞ってれば傷もつかないよ?』

「いつでもお前と共にいる。


そういう意味を込めてね。それに、使われないで錆びるより、お前に使われた方がいい。

扇子みたいに、一族に伝わる短刀だ。だから、お前が受け継いでくれ。」


兄さんはそう言うと、私のことを静かに抱きしめた。

まるで、その感覚を忘れまいとするみたいに。ただ静かに強く。


私が抱きしめ返せば、兄さんは小さく声を出した。


「お前はもう、あっちに戻る時間だ。もう二度と、こんなに早くこっちに来るなよ。」

『そうなんだ……。分かった。最後まで頑張って生きるね。


でも、やっぱり兄さんといたかったよ……。


お別れは嫌だ。会えなくなるなんて、嫌だよ…。』


そう言うと、兄さんはより腕に力を込めて抱きしめてきた。

兄さんだって、嫌だったはずなんだ。ごめんね、兄さん。


「お別れじゃない。俺はお前の傍にずっといる。ずっと、ずーっと、母さん達とお前の傍にいる。

だから、会えなくなるんじゃなくて、ただ見えなくなるだけなんだ。


大丈夫、お別れじゃないよ。」


大丈夫、大丈夫。


そう繰り返しながら、私の背を撫でる。
やっぱり兄さんは優しくて、そんな所が大好きだ。


「それじゃ、そろそろ送らなきゃな。」


兄さんがそう言った瞬間に、私の体は消え始める。

気がついたら、母さん達もそこにいた。


「行ってらっしゃい、A。俺達は、いつでもお前の味方だ。頑張って、幸せに生きてくれ。」

『うん。それじゃあ、行ってきます!』


私が笑顔を見せた瞬間に、光が強くなる。


最後に見たのは、三人の優しい笑顔だった。

帰郷→←術の習得



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (51 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
166人がお気に入り
設定タグ:NARUTO , 奈良シカマル
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ヒメ(プロフ) - いえいえ。とても面白いですよ! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - ヒメさん» コメントありがとうございます!楽しい、大好きと言っていただけるだけで、それが励みになります!本当にありがとうございます!これからも頑張りますね! (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 雪華さん» メモしたのですが、こちらからではコメントを消せないみたいなので、そちらの方で消してもらってもよろしいですか?お手数お掛けしてしまいすいません。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ - すごく楽しいです!作ってもない私がいうのもなんですが、きっと作るのに苦労をしていると思います。私はこの小説が大好きなのでこれからも頑張ってください!!応援してます! (2019年5月1日 20時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 藍夜さん» 出来ました!タイトルは木の葉隠れの氷華族の少女です。パスワードはkonohaです。メモしたらコメント消して下さいね。 (2019年4月30日 23時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:藍夜 | 作成日時:2018年12月11日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。