愛しい君へ ページ20
熱が集まってきた顔に手を当て、やめてと呟く。
「恥ずかしがることないわよ?母さん達はあなたが自覚する前から知ってたんだから。」
「で?どういうところに惚れたんだ?」
『もー!父さん!!』
ごめんごめんと言いながら笑う父さんは、ひとしきり笑ったあと真剣な眼差しを私に向け、肩に手を乗せてきた。
「A。必ず、幸せになりなさい。お前は生きていていい存在だ。里になくてはならない存在なんだよ。
一族のことに縛られる必要も無い。お前は、私達以上に幸せになれ。
それが、私達の唯一の望みだ。
お前はこれから、銀のことで他里の者に狙われることが増えるだろう。
だが、仲間と力を合わせて乗り越えなさい。それにお前には私達がついている。」
父さんはそう言って優しく笑い、頭を一撫でした。
父さん達がついている。その言葉だけで、私は救われたような気がした。
『私、ちゃんとみんなの分まで生きるから。だから、見守っててね。
でも!その前にちゃんと術とか血継限界使えるようにして、現実に戻んないとね!』
ニッと笑って見せれば、父さんと母さんは安心したように笑い、また私を抱きしめた。
母さんは私から離れると、頬にキスをしてくれた。
「頑張ってるAにご褒美。これからも、頑張ってね。」
「まだこっちには来るなよ?私達はもう行くな。修行、頑張れ。お前は私の宝だ。誇りに思うよ。」
「「A。愛してる。」」
母さん達はそう言って、光を放ちながら消えていった。
母さん達が愛してると言ってくれた。こんなにも胸が暖かくなるなんて。
母さん達に触れた実感を噛み締めていたら、兄さんが私の頭に手を乗せた。
「俺も、お前の幸せを願ってる。俺に出来るのは本当に少ししかないけど、お前への償いとしても、俺の全てをあげるくらいお前に教え込む。
そして、しつこく言うけど、俺を嫌いにならないでくれてありがとう。
愛してるよ。」
家族から言われる"愛してる"が、こんなにも暖かいものなんて知らなかった。
この人達を安心させる為にも、ちゃんと生きないと。そして、里のみんなと笑顔で幸せになるんだ。
『私も、みんなのこと愛してる!』
できることなら、生きている時に言いたかった。だけど、会えただけで私は幸せだよ。
「さーてと。だいぶ暗い話したり思わぬゲストも来たけど、そろそろ修行再開しよっか。」
『うん!兄さん、よろしく!』
愛する者を失わないためにも、強くならなきゃ。
166人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒメ(プロフ) - いえいえ。とても面白いですよ! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - ヒメさん» コメントありがとうございます!楽しい、大好きと言っていただけるだけで、それが励みになります!本当にありがとうございます!これからも頑張りますね! (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 雪華さん» メモしたのですが、こちらからではコメントを消せないみたいなので、そちらの方で消してもらってもよろしいですか?お手数お掛けしてしまいすいません。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ - すごく楽しいです!作ってもない私がいうのもなんですが、きっと作るのに苦労をしていると思います。私はこの小説が大好きなのでこれからも頑張ってください!!応援してます! (2019年5月1日 20時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 藍夜さん» 出来ました!タイトルは木の葉隠れの氷華族の少女です。パスワードはkonohaです。メモしたらコメント消して下さいね。 (2019年4月30日 23時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍夜 | 作成日時:2018年12月11日 20時