本当の真実 ページ18
私が一人黙々と試行錯誤をして邪鬼眼を習得しようとしていたら、ふと、兄さんが口を開いた。
「…………ねぇA、本当に俺を恨んでないのか?」
『え?』
「お前から家族という存在を奪ったんだ。恨まれても仕方がない。」
どうして今そんなことを思ったのか、私は分からない。
けど、 そう言った兄さんの顔が辛そうで、私は思わず兄さんを抱きしめた。
『私、兄さんのこと本当に恨んでないよ。なんでって聞かれたら、自分でもなんでか分かんない。サスケも、ネジも、親を殺されてそれで恨んでた。
でもね、なんでかな。私、兄さんは理由があってこんなことしたんだって、ずっと思ってたの。
もちろん、母さん達が死んだのは悲しかったよ。でも、兄さんが死んだのも同じくらい悲しかった。
だから、こうして会えたことが、すごく嬉しいよ。』
そう言えば、兄さんは私を抱き締め返してきた。何度もごめんと言いながら。
もしかしたら、私は自分にそう言い聞かせていただけだったのかもしれない。
幼いながらに、現実を受け入れたくなかった。兄さんが、大好きだった兄さんがそんなことするはずないと。
私がもう少し大人で、現実を素直に受け入れられる子だったら、兄さんを恨んでいたのかな。
でも、今はそんなことどうだっていい。今が全てなんだから。
「…あのな、お前に話さなきゃいけないことがあるんだ。
聞いてくれるか?」
悲しい笑顔を浮かべながら言う兄さんを見つめながら、私は静かに頷いた。
兄さんは私の頭を一撫でして、話し始める。
「カカシさんから、あの日の事の顛末を聞いただろ?あれは、本当の真実じゃないんだ。
本当の真実は、別にある。
それは、あの日の夜。俺が一族を殺めた夜だ。あの時、俺は母さんもがAを殺そうとしてるものだと思ってたんだ。
だけど、それは違った。
こっちに来て、母さんが全部教えてくれたよ。母さんは、お前を助けるつもりだったんだ。
たとえ逆らうことになっても、愛しい娘を殺すのは嫌だったし、何より母さんも銀より一族が悪いことを知っていた。
俺が来なければ、母さんがお前が殺されるのを阻止していたんだ。俺がちゃんと知っていれば、母さんは死なずにすんだ。
そっちの方が、お前には家族が残って良かったのにな。」
……そんなことが………。
だからあの時、母さんは何かを決心した顔をしてたのかな。
「本当に、ごめんな。」
気がつけば、兄さんは静かに涙を流していた。
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ヒメ(プロフ) - いえいえ。とても面白いですよ! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - ヒメさん» コメントありがとうございます!楽しい、大好きと言っていただけるだけで、それが励みになります!本当にありがとうございます!これからも頑張りますね! (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 雪華さん» メモしたのですが、こちらからではコメントを消せないみたいなので、そちらの方で消してもらってもよろしいですか?お手数お掛けしてしまいすいません。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ - すごく楽しいです!作ってもない私がいうのもなんですが、きっと作るのに苦労をしていると思います。私はこの小説が大好きなのでこれからも頑張ってください!!応援してます! (2019年5月1日 20時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 藍夜さん» 出来ました!タイトルは木の葉隠れの氷華族の少女です。パスワードはkonohaです。メモしたらコメント消して下さいね。 (2019年4月30日 23時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2018年12月11日 20時