木ノ葉side ページ15
「どうします?イタチさん。」
時刻は丑三つ時。静まり返った木ノ葉の里で、そんな声が病院の一室で響いた。
窓から射す月明かりに照らされながら、二人の男がベッドで眠る少女を見下ろしていた。
「……病院にいるうちは、迂闊に連れ出せないな。また日を改めるとしよう。」
そう言って窓から出ていき、闇の中へと姿を消した。
「鬼門一族の忌み子…。使い道がありそうだ。」
****
私がAの病室に行くと、何故か窓が開いていた。
誰かが朝開けたのかしら…?
そんなことを思いながら窓を閉め、花瓶に花を活ける。
「あのね、A。これいのが選んでくれたの。可愛いでしょ?」
あの日からあまり日は経っていないけど、いろんな人が毎日ここに出入りしている。
私だって、毎日通っているし、こうやって声をかけているのに……
どうして目を覚まさないの……?
気がついたら、私の頬を涙が伝っていた。
駄目よサクラ。こんな弱気になっちゃ。Aに笑われちゃう。
「じゃあね、また明日も来るから。」
そう言って部屋を出た。
すると、奥からシカマルが歩いてくるのが見える。未だに浮かない顔をしていた。
……A…シカマルの為にも、早く起きてよね……。
****
さっきサクラを見かけたが、多分Aの病室に行ってたんだろう。
実際に、新しく花が活けてある。
「ったくよぉ、お前は相変わらず愛されてんなぁ。モテモテですってか?お前が男だったら、もっと大変だったろうな。」
苦笑しながらそう言うも、こいつから返事は返ってこない。
お前はいつになったら目ぇ覚ますんだよ。
Aの手を握るとやっぱり手は冷たくて、顔色も良くない。
「…………このまま死んだら、許さねぇからな…。」
零れそうな涙を堪え、強く乱暴に目をこする。
どっかに、こいつを治せる医者はいねぇのかよ。無理だって言ってたけど、ここにいる医者よりもすげぇ医療忍者はいねぇのか。
いるのなら、すぐにでも頼みてぇのに。
「って、焦ってるのは俺だけか。A、お前のこと待ってるやつは、俺だけじゃねぇんだからな。
サクラも、ナルトも、サスケも、いのもチョウジも、みんながみんな待ってんだ。
早く起きて、元気な顔をみせてくれ…。」
そう言って、優しくAの頬を撫でる。
「また、明日も来る。」
それだけ言い残して、俺は病室を後にした。
明日は花瓶をもう一つと、あいつが好きな花を持ってこよう。
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ヒメ(プロフ) - いえいえ。とても面白いですよ! (2019年5月18日 21時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - ヒメさん» コメントありがとうございます!楽しい、大好きと言っていただけるだけで、それが励みになります!本当にありがとうございます!これからも頑張りますね! (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 雪華さん» メモしたのですが、こちらからではコメントを消せないみたいなので、そちらの方で消してもらってもよろしいですか?お手数お掛けしてしまいすいません。 (2019年5月1日 22時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
ヒメ - すごく楽しいです!作ってもない私がいうのもなんですが、きっと作るのに苦労をしていると思います。私はこの小説が大好きなのでこれからも頑張ってください!!応援してます! (2019年5月1日 20時) (レス) id: 78831db6d6 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 藍夜さん» 出来ました!タイトルは木の葉隠れの氷華族の少女です。パスワードはkonohaです。メモしたらコメント消して下さいね。 (2019年4月30日 23時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2018年12月11日 20時