憂鬱と彼 ページ4
「…あ、赤司君」
見慣れたチームメイトの姿に、安堵の溜息が出た。
あの複数の笑い声はなんだったのか。
確実に近付いていた筈だけど。
「取り敢えず、話は後だ。…着いてこい」
強く腕を引っ張られる。
心なしかその足取りはいつもより早く、声色も青峰君に外周を言い渡すときのそれに似ている気がする。
あ、やっぱりこっちの方が怖いかもしれない。
…ごめんなさい、怒ってますよねすみません。
.
「で、弁明なら受け付けるよ」
「…ごめんなさい」
ここら辺は来たことがなかったけれど、一歩繁華街から出ると私の住む場所と変わらない住宅街が並んでいた。
急ぎ足なのは変わらずに、どこかへ歩く。
ここで重要なのは、相合い傘だ。
たとえチームメイトでも、やっぱりこれは、ちょっと緊張する。
弁明は、なんてチャンスを与えてくれる辺り、そこまで怒っている訳ではないらしいけど。
こう言うときには、先に謝っておいた方がいい。
赤司君は何て言うか、身内にはものすごく甘いタイプだ。
絶対に許してくれるという自信すらあるくらいに。
うん、まぁだいたい理由はわかるよ。
女子がどうしてこんな時間に一人で彷徨いていたんだとかそういうことだよね。
こんな時間まで遊んでたとか、そういうことでは決してない。
おばあちゃん家に行くというイマドキの中学生らしからぬ中学生です。
「何か、理由があったんだろう?」
「おばあちゃん家からの帰宅途中に少し寄り道をしていたら電車が脱線事故で運休してしまいました」
ノンブレスで言えば、いっそ哀れなものを見たような目で、それはご愁傷様と言った。
「電車、いつ運行するかな」
「少なくとも明日には運行するだろうね」
「…野宿」
「何を言っているんだ」
どうして赤司君がこんなところに、と思ったら、そう言えば赤司君は電車通学だったことを思い出した。
ロードワーク中に雨が降ってきて、仕方がないからと家に向かう途中に私と会った訳だけども、
雨で濡れた服の上に、少しはマシだろうとかけられたジャージ。
汗臭いかもと言っていたが、むしろなんか凄い良い匂いがする。
「着いてこい、ということはそういうことだ。もう少しで着くから、それまで頑張れるだろう?」
冷たい手を引かれて、一瞬ドキリとしたけど。
あ、そうだ。この人、天然タラシだった。
着いてこい?
…もうキャパオーバーです
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歯茎 - もう更新されないのでしょうか?🥹 (10月7日 7時) (レス) @page10 id: 71e3afebe3 (このIDを非表示/違反報告)
春来るみつば - 赤司の思春期、マジウケwwあと、雑談のところ、私も同感です。これからもがんばってください! (2017年4月11日 19時) (レス) id: d855b9db72 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 充さん» 返信が遅くなってしまい、本当にすみません! そう言っていただけて、とても嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ 更新遅くなってしまい本当に申し訳ないです……<(_ _)> (2016年3月30日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 華奈さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません! 赤司様の可愛さは異常ですよね( *´艸`) 更新するのが遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした<(_ _)> (2016年3月30日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
充(プロフ) - ふおぉぉぉ!!!!めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます! (2015年11月10日 17時) (レス) id: 72a20980cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綵架 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayakamakar1/
作成日時:2015年10月15日 20時