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憂鬱と雨 ページ3

人混みをすり抜けてターミナルを出ると、相変わらずの雨。
昨日はあんなに晴れていたのに、どうしてこんな時に限って土砂降りなの。



駅周辺は帰宅できずに溢れた人でごった返していて、なんとなく嫌な雰囲気だった。
まるで違う世界。

雨で白くぼやけたネオン街に、騒がしく響く声。
場違い、まさしくそれ。



ここからどうしろというのか。

まさかタクシーで帰るわけにもいかないし、ひとえに歩きで帰ると言っても道がわからない。
時間もかかるし、どうすればいいんだろう。




とにかく、ここから離れよう。
いささか中学生に似つかわしくない場所だ。

一人娘、蝶よ花よと愛でられ育った身として親にバレてはまずい。


第一、おばあちゃん家から出た時間は夕方だったのに、どうして補導対象時間になってもまだ家に帰れていないのか。

物理的な距離で何時間かかかったのは百歩譲っても、まさかこんな時間まで外にいるハメになるとは。
全て、計画性のない私が悪いです。






まず、ここからどうしよう。
バスで帰るにしても、家の近くで止まるバスってどこ。
もうほんと、どうすればいいの。

ここでバッタリ知り合いに会って、どうにかして家に帰れたりしないだろうか。
やっぱり、歩くしかないよね。




雨の中、彷徨き回っても周りは騒がしくなる一方だった。
たしかここは、最寄り駅に近い筈。でも、こんな場所だっただろうか。
私が住んでいるところとの雰囲気のギャップが大きすぎる。


傘も差さずに、何をしてるんだろ。私。




下品な笑い声が近付いて、息が止まりそうになる。

あ、これ。もしかしたら、もしかしたら、やばいかもしれない。



どうしよう、なんだこれ。怖い。
全部、自分が撒いた種だ。だから、ちゃんとどうにかしないと、



肩を叩かれる。
吐いた息が少し震えて、瞬きをする。

大丈夫、大丈夫。
誰も言ってくれないから、落ち着かせるように心の中で呟いた。






「…A?」






意を決して振り向けば
赤い髪、知的な瞳を覗かせて、心地の良い声で私の名前を呼ぶ人。

不安も全部、どこかに消えていった。

憂鬱と彼→←憂鬱と不運



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設定タグ:黒子のバスケ , 赤司征十郎   
作品ジャンル:アニメ
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歯茎 - もう更新されないのでしょうか?🥹‪ (10月7日 7時) (レス) @page10 id: 71e3afebe3 (このIDを非表示/違反報告)
春来るみつば - 赤司の思春期、マジウケwwあと、雑談のところ、私も同感です。これからもがんばってください! (2017年4月11日 19時) (レス) id: d855b9db72 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 充さん» 返信が遅くなってしまい、本当にすみません! そう言っていただけて、とても嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ 更新遅くなってしまい本当に申し訳ないです……<(_ _)> (2016年3月30日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 華奈さん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ありません! 赤司様の可愛さは異常ですよね( *´艸`) 更新するのが遅くなってしまい、大変申し訳ありませんでした<(_ _)> (2016年3月30日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ふおぉぉぉ!!!!めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます! (2015年11月10日 17時) (レス) id: 72a20980cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綵架 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayakamakar1/  
作成日時:2015年10月15日 20時

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