緩やかに潜めて * 高尾和成 ページ2
それは、戯れのようだ。
何もかもわかっているとでもいうような、そんな口調が憎らしかった。
ヘラヘラと笑う癖に、本当は人一倍聡いのだ。
だから、貴方はゆっくりと私の首を絞める。
ゆっくり、甘さと愛を麻痺させて
.
それに気付いたらのはいつだったか。
何気なく窓の外を見た時。いつもならこちらを見つめて悪戯に笑うのに、優しく笑って話しかける姿を見てしまった。
そのとき、曖昧だった線引きが等しく引かれたのだ。
綺麗に伸びた黒髪に優しく触れる姿なんて見たくなかったと言えば笑ってくれるだろうか。
いっそ馬鹿だと言ってくれたなら潔く諦めがつくのに、いつまでも優しい彼に甘えていた。
振り切れないことを知っていて、私と誰を重ねているのかも知っていて、けれどそれを利用したのも無理矢理見ないようにしたのも私だった。
我ながら惚れ惚れする馬鹿さ加減に溜息すら出ない。
「おーい、聞いてんの?」
「ん、何。聞いてるよ」
「そ?それならいーんだけど」
固くなった体を解すように腕を伸ばせば、おばあちゃんかよなんて笑われた。
私がおばあちゃんなら、あんたはおじいちゃんだけどね、なんて言って立ち上がる。
「和成のお陰で早く終わった。ありがとね」
「おーよ。そういやぁさ、駅前に新しく出来たトコ…なんだっけ、」
「クレープ屋さん」
「そう!そこ。この後どうせ暇だろー?だから、行かねー?」
あぁ、はいはい。お人好しの馬鹿だとは思っていたけど。そんな重要なこともわからないなんて、やっぱり馬鹿だなあ
そういうところは、私なんかじゃなくて。本当に好きな人と行く場所でしょ。
私の気持ちは手に取るようにわかっている癖に、そういう簡単なことをわかっていない。
「私も暇じゃないんだよ」
「知ってる」
「でしょ。でも、和成がそんなに暇だっていうなら行ってあげる」
「ツンデレは真ちゃんだけで間に合ってまーす」
ぶは、なんて盛大に吹き出した後に緩く頬杖をした和成は、不意にこちらを見上げた。
そうだ。その瞳が嫌い。何でもわかってますよっていう、その表情がムカつく。
それから、いつも飄々としているところも嫌い。
嫌い。
「A」
「何」
「オレさ、今日はちょっと辛いことがあったんだよね」
「それで?」
「慰めてくれるっしょ?」
その言葉は甘く、愛なのだと勘違いしてしまう。
そうして、緩く、私を殺してしくのだ。
愛しさ余れば * 黄瀬涼太→←例えば、愛してる * 赤司征十郎
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綵架(プロフ) - さゆさん» はやいwwwww あざます!やっと更新できた……にじむーはちゃんと勉強して書きますね、長らく書いてないもんだから!あざました! (2016年8月26日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 哀井 さん» あわちゃん!!返信遅れてごめんなさいいいい 本当にありがとうございます拙いながら更新していきますので……! (2016年8月26日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
綵架(プロフ) - 白石 ゆりこ.さん» 返信、大変遅くなってしまい申し訳ありません!! ありがとうございますあああできるだけ更新していきたいので、これからもよろしくお願いいたします(T ^ T) (2016年8月26日 13時) (レス) id: 82a595c217 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - 更新キタコレ!!!!!虹村さん楽しみにしてるね!!!!!! (2016年8月26日 13時) (レス) id: 51b8276c7b (このIDを非表示/違反報告)
さゆ(プロフ) - やばいよ!!!!赤司様!!!!素敵!!!ホント,綵架の書く赤司様イケメンだし可愛いし...///大好きです!!!!最後にリクエストいいですか?!虹村さんみたい! (2016年1月14日 0時) (レス) id: 51b8276c7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綵架 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayakamakar1/
作成日時:2016年1月11日 18時