二十一話 ページ26
・・・どうして、か。
不二「A」
不二が白鳥の名を呼ぶ。それで白鳥がやっと顔を上げる。
貴女「・・・・はい・・・」
不二「大丈夫だよ。僕達は君があの事をワザとしたんじゃ無いって、解ってるよ」
不二がそう言いながら俺達に目配せする。
・・・そんな事聞かなくとも判っている。
あの件に関して、白鳥は被害者なのだから。
顔を上げても尚、白鳥の顔の曇りはとれていない。
不二や菊丸が安心させる様に白鳥の頭を撫でているのを見ていると、やはり下に弟や姉が
居る菊丸と不二は宥めるのが上手いらしい。
不二「大丈夫。君は、独りじゃ無いよ」
刻み込むかの様に不二が後押す。
その甲斐在ってだろうか。白鳥の顔から少し曇りが引いた。
・・・いや、ただ慣れていないのだろう。頭を撫でられるという行為に。
菊丸「しょうがないにゃ〜。不二はしーちゃんの事、誰よりも気にかけてるからにゃ〜」
不二「こら英二、本人の居る前で言っちゃ駄目じゃ無いか」
ちらり。不二がこちらを横目で見る。
・・・・そういう事か。
手塚「・・・二人共、その辺にしておいてやれ。白鳥が困っている」
気が付かないフリでそう言う。
・・・白鳥に対して、俺はそういった気を持つつもりは無い。
只、共に高め合えるテニスプレイヤー、それだけだ。
だが・・・・。
白鳥の方を見る。
長袖を着ていても解る、細そうな腕の何処に、あんな力を持っているのだろうか。
俺も表情筋が仕事をしないが、白鳥はそれに加えて時々目が虚ろになる事があった。
越前とそう変わらない体格の何処に、どんな重荷を白鳥は背負っているのだろう。
そんな事を時々気にかけてしまう。
そんな事を考えている時点で、俺は白鳥にそういった感情を抱いているのだろうか。
俺にはこの感情が何なのか・・・解らない。
遠くを見つめる白鳥の表情を見つめていると不意に白鳥の眉間に皺が寄り始めた。
それは俺では無く、その後ろを見つめている。
・・・後ろ?
振りかえると、此処の高校生だろうか。
此処を通りたくば缶倒しをして行けと言っていた。
・・・白鳥はこういう手の奴が嫌いだったな。
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紅蘭(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年7月26日 21時) (レス) id: c067e04ee5 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - 続きみたいです!!楽しみにしてますね! (2018年6月19日 1時) (レス) id: bbdaff8623 (このIDを非表示/違反報告)
愛美(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2018年4月21日 20時) (レス) id: dde960ea55 (このIDを非表示/違反報告)
そると(プロフ) - めっちゃ面白いです! 更新楽しみにしてます! 頑張ってください! (2018年2月6日 20時) (レス) id: 1c3be86581 (このIDを非表示/違反報告)
ミリイ(灰崎信者)(プロフ) - 原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです原哲也(ハラテツ)の小説も書いて欲しいです (2017年12月10日 16時) (レス) id: 99fc6b4eef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩かまぼこ x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naki06281/
作成日時:2016年8月7日 18時