【Ｕ−１７日本代表】 白キ帝王と白ノ女帝。【新テニプリ】

一話 ページ3

――――――パコン・・・


パコン・・・









夜。







月明かりと僅かな街頭の明かりに照らされたテニスコート。

そこで独り、白い少女はボールを打ち込む。





打ったボールは返してくれる相手も無く、静かに寂しくコート内に転がり、佇む。

そんな事は気にも留めず、彼女はただ只管(ひたすら)にボールを打つ。




《わたし達が居なくても、あの子さえいれば勝てるんでしょ？》

《なら適当にやって終わらせよ〜》





ふと彼女の顔が歪む。



ガシャンとフェンスに勢いよくボールが当てられ、そこで彼女は打つのを辞めた。







暫く焦躁とした様子でフェンスを見つめていたが今日はもう切り上げるのか、ボールをカートに片づけ始めた。




俯く度に顔から汗が滴り落ちる。




それはまるで彼女がどこか心の奥で、泣いている様にも見えた。





彼女の名は白鳥A。

現在でも『白ノ女帝』と恐れられる女子テニス界きっての天才プレイヤー。




異名の由来は、白い髪とそのプレイスタイル。
無駄の無い清廉されたフォーム、優美に試合を進めるその姿に、相手はつい魅入ってしまう。
姿形だけでは無く、試合中の彼女の発する気迫には誰もが足が竦んだ。


その姿が物語に出て来る様な女帝の姿を模していた事から勝手に『白ノ女帝』という異名が着いて廻った。

二話→←設定

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す