ぼくたちの失敗

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お食事会は診察が夕方で終わる土曜日にすることが多い。

スタッフはみんな着替えを持参してるから、更衣室で着替えてからお店に向かった。

この間北山さんと楽しく飲んだお店に再び入る。

この間の場所とは違い、予約した2階の大部屋へ通された。

「皆さん、すみませんが先にファーストドリンクだけ決めてください」

メニュー表を持ってドリンクのお伺いへ。

まずは院長先生に聞いて、次に太輔先生のところへ。

「太輔先生は何にしますか？」

「んー、迷うな。なんかここ珍しいお酒があるね」

「ですよねっ、前も…」

「え？」

あ、まずい！

「前も、あの、メニューをネットで見てみた時に変わってるなって…」

「ああ、下調べしてくれたんだな。ありがとう」

優しく微笑まれて、胸が痛んだ。

それぞれのドリンクが届き、乾杯をすることになった。

院長先生に乾杯の音頭をしてもらい、乾杯をした。

とりあえず始まりがスムーズにいって一安心。

うちの歯科医院は受付の私と、歯科助手がなみちゃんとあと二人、衛生士さんが二人、技工士が横尾さんと二階堂さんで、先生を入れて10人。

一般的な職場より少ないけど、二階堂さんやなみちゃんが明るいからとても賑やかだ。

「Aちゃん、おいでおいで」

二階堂さんに手招きで呼ばれて隣に行った。

「幹事、上手くやれてるじゃん。えらいえらい」

頭をわしゃわしゃっとされて、ただおろしてるだけで纏めてはいないけど、髪の毛がボサボサになってしまった。

手ぐしで整えながら「ありがとうございます…」と一応お礼。

ドリンク聞くの、手伝ってくれたし。

「一緒に飲むか〜っ」

「きゃあっ」

肩を組まれて二階堂さんのグラスを顔に近づけられた。

「これ、上手いよ。飲んでみ？」

「いえ、いらないですっ…」

腕を押してみるけどびくともしない。

ドンッとグラスを置く音がして、見ると横尾さんが怖い顔をしてこっちを見ていた。

「ご、ごめんなさい…」

うるさかったかな。

咄嗟に私が謝ると横尾さんは「君が謝る必要はない」と言ってくれた。

「え〜、じゃあ俺？横尾さん、なんでいつも邪魔するんすか。もしかして、好きなんですか？」

からかうようにそう言う二階堂さんにギョッとする私。

「違う。彼女は太輔先生の大事な女性だからだ」

「はっ？！Aちゃん、太輔先生と付き合ってんの？！」

二階堂さんの大きな声にみんなが一斉にこっちを見た。

中でも仲良しのなみちゃんが一番驚いた顔をしていた。

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