教え子 ページ10
あまり使用することがない付加魔法を纏う行為に苦しむ生徒が多い。しかし、優秀な魔法士の卵たちは呑み込みが早いのも事実だった。
身体に魔法をかけた状態で体術を繰り出す。体格に恵まれた者は得意なようだが、そうでない生徒は少し手間取っている。
中でも、Aの目を引いた生徒がいた。
その生徒に近づく。
「どうですか調子は?」
「うわっ、びっくりしたぁ……全然足音しなかったのに」
「申し訳ございません。足音を消してしまう癖がありまして。それで、何か困り事はありますか?ラギー・ブッチ様」
「さま……?てか、獣人の耳に引っかからないってあんた何もんスか」
覚えたての名前を口にする。それに指摘の声はなかったので彼の名前はラギー・ブッチに間違いなかった。
ハイエナ特有の大きな耳を震わせる。
「困り事も何も……俺、結構身軽で身体能力もそこそこ高いんスよ。でも見ての通り骨と皮だけの体なんで、体術に使う筋力とかないんスよねぇ」
確かにラギーは身長も身体能力も平凡な男子と言う見た目をしている。
しかし、肉付きは良くない。
普通に育っていればそれなりに肉は付くはずなのに、骨と皮が目立ちすぎるのだ。
ここである一つの考えがまとまる。
だがそれを理由にするのはいささか野暮に思えて、ここは教師らしくアドバイスだけすることに決めた。
「実は、体術は力だけが売りではないのです。あなたの持つ身軽さと身体能力の高さを利用し、比較的筋力を使わない技もあります」
「へぇー。力が全部って感じっスけどね」
「大抵は力に自慢がある者が学びますから。とりあえず今日はラギー様の得意を体術にし、付加魔法は後日にしましょうか」
「はーい、先生」
どこか気だるそうに返事をして、Aはその時間ラギーとマンツーマン授業を行った。
34人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
竹原洸(プロフ) - 続き…見たいです…楽しいです…幸せです…あっ禁断症状がぁぁぁ!! (2022年8月21日 23時) (レス) @page18 id: de670ee21e (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか?すごく面白いので続きが見たいです。更新楽しみにして待っています! (2020年9月16日 21時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ