詰め寄る獣たち ページ18
「入れ」
と、レオナが開けた扉はサバナクロー寮にある寮長部屋のもの。つまりレオナの私室だった。言われるがままに部屋へと足を踏み入れる。バタン、と扉を締める音が響いた。
立ち尽くすAの横を通り過ぎ、レオナはキングサイズのベッドに体を横にした。
「来い」
「……失礼します」
ゆっくり距離を詰める。ベッドの脇に立つと膝をついた。にこりと微笑めば、何やらレオナは不満げな様子。尻尾を激しく左右に振っている。
「レオナ様。私はまた何か気に障ることをしましたか?」
「……来いって言ってんだよ俺は」
「ですので、お側に参ったのですが。心理的な意味での接近でしょうか?」
「あー、おまえはそういう奴だったよ。もういい。椅子に座ってろ」
何を諦めたのか投げやりにものを命じ、その目を閉じた。眠りについたわけではなさそうだ。命じられた通り椅子に腰掛けた。
机に目を向けるとチェス盤を見つける。そういえばレオナは子供の頃から頭が冴えていて、こういう頭を使うゲームを好んでいた。そして彼に勝利した挑戦者は誰もいなかった。
いや、レオナがルールを学んだのは兄のファレナからだ。学びたての時はまったくファレナに勝てず、悔しがっていた記憶がある。そこに追い打ちをかけるようにファレナが励ましていたが逆効果だったことも。
「レオナ様」
「…………」
「昼寝を済まされたら私とチェスをするのはどうでしょう。久々にお相手願いたいです」
「……気が向いたらな」
とだけ呟くと彼は深く息を吸って眠った。楽しみです、と微笑んだ。
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竹原洸(プロフ) - 続き…見たいです…楽しいです…幸せです…あっ禁断症状がぁぁぁ!! (2022年8月21日 23時) (レス) @page18 id: de670ee21e (このIDを非表示/違反報告)
葉紅(プロフ) - もう更新しないんでしょうか?すごく面白いので続きが見たいです。更新楽しみにして待っています! (2020年9月16日 21時) (レス) id: 915a610475 (このIDを非表示/違反報告)
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