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第192話「汚濁。(壱)」夢主 ページ50

「おい、んなことしてる暇あったら太宰も暁もあの悪夢をどうにかする作戦を考えろ!!」

そう私達に怒鳴りつけた中也さんに、太宰さんは飛びっきりの笑顔で応える。

「いやぁ、無理無理!!諦めて死のう!!もう残った手は「1つしか無い」しね!!」

1つ。
その言葉に、私は目を見開く。
それが意味するのは……__

「1つって……。『汚濁』をやる気か??」

中也さんの異能の本来の力であり、奥の手(・・・)である。
私も1度だけ、実際に見た事が有るが、あれは天災と呼ぶに相応しい、神に等しい力であった。
私の最大火力……女王を以てしても……__或いは、私の生命力などを使えば完全勝利も可能かもしれないが__上手くいって、相討ちだろう。

私は思わず、恐怖や緊張に拳をぐっと握る。

「私達二人が‟双黒"なんて呼ばれだしたのは、『汚濁』を使い一晩で敵対組織を建物ごと壊滅させた日からだ。……但し、私の援護(サポート)が遅れれば中也が死ぬ。選択は任せるよ。」

真っ直ぐと中也さんを見詰める太宰さんの目には、中也さんを試すような笑みと確かな光が宿っていた。

「選択は任せる、だと??手前がそれを云う時はなァ……何時だって他に選択肢なんて無ぇんだよ!!」

中也さんは、覚悟を決めたように、にやりと笑うと私の頭を撫でて少し微笑みかけた。
其れから、中也さんは太宰さんに向きなおすと「後で覚えとけ、この陰湿男!!」と睨み付けると、「悪夢」に向かって歩いていく。
一方、太宰さんは例によって矢っ張り余裕そうな笑顔で「頑張れ、単純男。」と云う。

「女の敵!!」
「双黒(小)。」
「誰が(小)だ!!」

何時もの口喧嘩を繰り広げるお二人を、私は微笑みながら見詰めていた。

この小説の続きへ→←第191話「彼の人の影」夢主



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設定タグ:文スト , 中島敦 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時

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