第183話「女王と○○」夢主 ページ41
対峙したヨコハマの二大異能組織の長たちは、数秒の間、じっと見つめ合う。
永遠に続くかと思われた、鉛のように重い沈黙は社長の静かな声で、うち破られた。
「……竟に、この時が来たな。」
「探偵社とポートマフィア。横浜の二大組織の
社長の言葉に微笑んで返す森さんを、私はじっと睨み付けていた。
___何故なら
「……単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が、貴君らポートマフィアとの「同盟」を具申した__。」
何故なら、この社長の言葉が…愛すべきこの街の暗部を牛耳るポートマフィアとの交渉の始まりを意味するから、であった。
さて、そんな中始まった交渉だったが__見事に、炸裂したのだった。
死人が出なかっただけ
「__ねぇ太宰さん、そう思う事にして下さいよ。」
「でも、ねぇ。だって、朝から嫌な予感しかしないのだよ、いろは。」
私は太宰さんが幼子のようにごねる様子を、少し苦笑いをしながら眺めていた。
先程日が顔を隠したばかりの空は、入れ替わるようにちらりちかりと星が瞬き始めており、私は少し胸を躍らせる。
私は、この時間が好きなのだ。
昼は明るすぎて居心地が悪いし、夜は暗すぎて安心出来ない。
はぐれ者の私にとって、この時間は1番安心出来る時間であった。
「……いろはは、ご機嫌だね。」
「えぇ、この時間が1番好きですから。それに、太宰さんと二人きりの任務、というのも…とっても、嬉しいです。」
私は太宰さんに微笑みかけると、太宰さんも少しだけ、口角を上げた。
…と、その時。
前方に小さな山小屋が見えてきた。
「……着きましたね。」
「嗚呼。…あれが、Qの監i禁施設か。」
太宰さんの言葉が引き金になったらしく、後方から照明が辺りを明るく照らす。
「「!」」
思わず振り返った私達の目に映ったのは__
「……こんばんは。
「作戦参謀のルイーザ嬢は敵の行動予測が得意なんだ。」
私は、目を見開いた。
組合の少年の後ろに立っていたのは、見間違う事なく__私の部下であった、ソル…アグラソルだった。
「……成程、罠と
「敵を殲滅せよ、ですね。」
「嗚呼。…殺さない程度にね。」
私は頷くと、女王を呼び出したのだった。
__第183話「女王とソル」
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時