第184話「双黒と女王」夢主 ページ42
「女王!私の敵を全て倒して!」
私に呼び出された女王は私の言葉を聞くと頷き、懐から小型リボルバーを取りだした。
一方私は私と太宰さんが入るような、半球体のような形に異能を展開する。
今日は異能は使ってない。体力もそこそこある。
…大丈夫、完璧に治めて見せる。
私が深呼吸して自分を落ちつけていた、その時だった。
組合の少年の隣に立っていたおじさんの上に、巨大な岩が飛んでくる。
「……!」
途轍もない轟音と砂煙と共に現れたのは__
「先に云っとくがなァ…この塵片したら、次は手前だからな?」
ポートマフィア幹部、中原中也であった。
「いろは、女王引っ込めろ。女王は後で使うことになるかもしんねぇ…此奴らは俺で充分だ。」
「……!はいっ、中也さん!」
私は思わず微笑んで、力強く頷くと女王だけ消滅させて、その代わり「割られる」ことが無いように周りの異能を強化する。
「……あーあ、矢っ張りこうなった。だから朝から遣る気出なかったのだよねぇ…。あといろは、いろはは中也に命令されてほわほわしないで。」
「ほ、ほわほわしてました!?」
じとっとした目で此方を見詰めてくる太宰さんに、私は慌ててそう訊き返す。
もし本当にほわほわしていたのなら、もの凄く恥ずかしい。
確かに、嘗て…太宰さんが未だポートマフィアに居た頃のようで懐かしくって心が躍っているのは否定できないのだが。
「バカな!こんな奇襲、戦略予測には一言も…!」
そう言って異能を発動させた少年の肩に、太宰さんが触れる。
私は小型リボルバーを懐から取り出すと辺りに居る、銃で武装した組合構成員たちを次々と気絶させていた。
入っているのは銃弾ではなく、即効性の睡眠薬。
効果は短時間だが、とても強力で象だって一瞬で眠りに落ちる。
私が弱そうな構成員全員を片付け終わったのとほぼ同時に、目の前で途轍もない音と共に組合の樹の少年が蹴り飛ばされていく。
「……ちっ、此れだから君たちは好きじゃないんだ。」
「……!待ちなさい、ソル!アグラソル!」
私の制止も聞かずに姿を消そうとするソルを追いかけようとした私だったが…
「……やめとけ、いろは。ソルは組合の構成員だった。其れだけだろ?」
「…中也さん。」
「いろは、裏切りなんてよく或った事じゃあないか。気に留めることは無いさ。」
「太宰さん…。」
私を挟んで慰めて下さるお二方に、私は思わず胸が熱くなったのだった。
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作者名:業猫 | 作成日時:2019年9月9日 16時