Episode13 ページ15
走って走って走る。
体育館小窓の影から中を覗く。
「…なに……やってんだよ…!?」
目の前で起こる悪夢は現実なのか?
アイツが負けてる?
オレが1度も勝てなかったアイツにアツシが?
ンでだよ…何で何だよｯ!?
何でお前は膝を着いてるんだ?
起きろよ…冗談にも面白くねェんだよ!!
･
･
「＿＿＿＿僕に逆らう奴は親でも殺す。」
それは一瞬の出来事で、1 on 1で敗北寸前の
アイツは立っていて逆にアツシは尻餅を着いていた。
優雅に点を決めるアイツはそれまでの絶望が
無かったかのように点差を縮め勝った。
「…馬鹿野郎。」
忌々しかったあの紅い瞳。
下賎を見る視線…嫌いで嫌いで仕方なかった。
何でも上からもの言うし、自分が正しいと思ってる王様。
いつからか、それが本当のお前じゃないんだと気づいたのは…。
お前とあの場所でバスケをする度に
お前が楽しそうに笑う度に
お前の瞳が虚ろになる度に
知るようになった、お前が無茶をしていることを。
自分が正しいと言わんばかりの態度は
お前の弱さを隠しているのだと。
本当は不安で苦しんでいたんだと。
それを隠さんばかりに気取っていたんだと、
オレは気づいたんだ。
その鋭い眼が細められ楽しそうに崩す顔
を知ってるのはオレだけ。
凛々しくある事でお前は崖の淵に居た。
時々見えるフードの裏側で光を失う
オレの嫌いな紅い色。
今では馴染みのある…嫌いじゃない色。
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作者名：唄詠 | 作成日時：2019年6月29日 1時
