Episode9 ページ11
「随分待たせてしまったようだね。」
「…待ってねェよ。」
「そうか。」
「暑かっただけだ!!」
幾つもの空のペットボトルを意味深な目で
見やるコイツに慌てて否定の言葉を入れる。
絶対に待ったなんて言わねェ。
んな恥ずかしいこと言えるかよ。
「…俺もだよ。」
「何がだよ?」
「楽しみで急ぎ足でここまで来た。
…部活中、ずっと早く終われと思っていた。」
「……そうかよ。」
オレも思ってたよ。
早く終われって…早く来いって。
でも言えるわけねェだろ?
けど…コイツはきっと分かってんだろうなァ。
読まれたから今、言葉にした。
タイミングが良すぎなんだよチートが。
「…次の勝負でゴリゴリ君だ!!」
「俺に勝てたことないだろう。」
「やってみねェと分かんねーだろうがよォ!!」
呆れたように溜め息を吐くコイツに
少しでも見返してやりたくて本気で向かう。
お前が来る前に練習してた甲斐が
あったってもんだろ…なァ?
「驚いてる暇なんてないぜ!!」
切り返しを重ね、オレの嫌いなお前の技を
危うかったが真似る。
正直キセキの世代の技は体にかなりの
負荷がかかる。
分かってる…まだ身体が出来あがかって無い
から負荷がかかること。
…即ち、オレはお前達より下にいて。
お前らはオレより遥か上を歩いているんだと。
体が悲鳴を上げているのが証拠だ。
でもお前らはそうじゃない。
平気な顔で淡々と繰り返す。
オレが如何にずっと下に居るのかが分かっちまう。
でも…今、この瞬間だけオレはお前と並ぶ。
刹那の間だけオレはお前の隣を歩く。
リョータの可能性を信じたお前を恨んで、
アイツにも出来ないキセキの真似事を
やって見せて、見返すことが復讐なのだと。
先にオレは行くぜリョータ?
____お前を選んだコイツの隣に今…オレが立つ。
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作者名:唄詠 | 作成日時:2019年6月29日 1時