remember 10 ページ12
『あの後、色んな場所のカメラからお前の姿を確認したが、検討の付きそうな人物は誰一人いなかった』
ディスプレイにPlay makerと表示されたメッセージにAは濡れた髪を拭きながらへぇ、と呟いた。先程までシャワーを浴びていたAにとって、メッセージが今来たのはタイミングが良い。変に時間を置いて返すと、そこから素性を探り出すのがハッカーというもの。Aはすぐにタイピングに取り掛かる。
『僕に興味津々だね、惚れたかい?』
『馬鹿言え、素性が分からないから調べているだけだ』
『それもそうだ。僕は昔からかくれんぼだけは得意でね』
Aはそう返すと、近くに置いていた水を一口。彼はカメラで確認出来なかったと言っていたが、自分はカメラの記録を書き換えたつもりはない。前に草薙のホットドッグを食べた、と伝えた、あの時だけダミーとして真っ新にすり替えたのは確か。だけど、その印象に囚われすぎているからPlay makerは『ジャービス』と呼ばれるハッカーがだれか分からない。きっと見えていないのだ。
ボールペンを拾ったのはは本当の偶然。何となく彼が気になったから。まさか、そこから彼が『谷町 A』という人物に興味を持ち、親しくしてくれるとは思わなかった。『ジャービス』だから『谷町 A』が気になったわけではないという事実にAは微笑む。
『Play maker、気になるなら想像してみなよ。僕はどんな姿だと思う?』
『……それはお前が、俺の持つイメージに興味を示しているからだな』
『あれ、察しがいいね。なら、話は早いじゃないか。僕はどんな姿でしょうか?』
『……性別はわからない。年は二十代前半までと若い姿を予想している。そして、現実のお前は随分なお人好しだろ』
『へぇ、何で?』
半分以上当たっている。思ったよりも素晴らしい洞察力にAは素直に感心した。流石は、Play maker。基、藤木遊作。Aが微笑んでいると、彼から返事が返ってくる。
『俺に協力してくるあたり、変人だというのは明らかだ』
Aはぷっ、と吹き出して大声で笑った。確かにそうだ、変人じゃなければこんなハッキングなどと言う犯罪行為はしない。それは君も同じだろ?
「見つけてくれるの、楽しみにしてるよ。藤木くん」
ログを消しながら彼女は呟いた。
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暁(プロフ) - とても面白いです!!次の更新楽しみにしています!! (2019年10月8日 12時) (レス) id: dd077ce83e (このIDを非表示/違反報告)
はな - 続き読みたいです!面白かったです (2019年4月16日 1時) (レス) id: 87d0cab806 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - 続き楽しみにしてます!頑張れ〜恋愛一年生、遊作! (2019年4月6日 21時) (レス) id: c6a15fa920 (このIDを非表示/違反報告)
しゅりんぷ(プロフ) - ねこみこさん» コメントありがとうございます。お返事が遅れてしまい申し訳ありません。とても嬉しいお言葉ありがとうございます、ご期待に添えるよう更新頑張ります。 (2019年4月1日 1時) (レス) id: a80e55b6ef (このIDを非表示/違反報告)
ねこみこ(プロフ) - とても面白いです更新頑張ってください! (2018年7月3日 22時) (レス) id: 185c2ad794 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゅりんぷ | 作成日時:2017年9月22日 17時