#17 ページ18
中也side
この木偶は知らない。
知ったふうなことを言ってるが、その実なんも分かっちゃいねぇ
Aが脆いことくらい知ってるだ?
よくそんなことを言えたもんだ
それがわかってンならもっとマシな去り方があったはずだ…
Aがあんな泣き方をせずに済んだ方法が…
ーーー今でもはっきり覚えてる
ミミックの件で方々が忙しい時、Aも仕事が積み重なっていた
恐らくあの頃はずっと尋問室に篭っていたに違いない
外の事など耳に入らなかったのだろう
だから、Aが太宰失踪を知ったのは、奴が消えてから数日後のことだった
報せがそれだけなら、まだAも正気を保っただろう
だが、織田作之助の死亡も伝えられたという…
中也「Aが…どんな思いで手前を頼っていたと…」
当時を思い出し、ふつふつと湧き上がる怒りを噛み締める
Aは太宰に固執している
それは太宰が唯一、Aが渇望するものを与えられるからだ
『生きているのなら、生きている確証が欲しい』
Aがよく口にしていた
そして彼奴の場合それが痛みであり、恐怖であった
太宰「痛みこそが生者の証。だからAは私に執着する。…それだけの関係に過ぎない」
中也「手前…本気で言ってんのか」
太宰「なんだい中也。今更そんな話をして…Aが私を頼ったのが気に入らないのかい?」
中也「勝手な勘違いしてんじゃねぇ!!」
高まった感情のままに異能が発動し、地面にひびが走る
本来なら俺が太宰に怒りをぶつけるのは筋違いだろう
A本人がぶつけるべきだ
だけど…どうにも俺は我慢がきかねぇ
気づかないフリをしている太宰に腹が立って仕方がない
此奴は向き合おうとしてないんだ…
太宰「中也…Aは消える気だ」
中也「…あぁ」
Aが去った後、首領もそう言っていた
俺も薄々は感じてはいた…
首領に取引を持ち出してまで、太宰のところへ行ったのがなによりの証拠だ
太宰「どうやら私は…Aを…」
中也「勝手にAの前から去った償いだ。ざまぁみろ」
太宰「まったく…二人して私をいじめないで欲しいね…」
独り言のようにそういう太宰
一瞬俯いて思考を巡らせた後、ゆっくりと口を開いた
太宰「…君たちが追っている相手は、Aの身体のところにはいかない。捕まえて吐かせた方が早いよ」
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