お兄ちゃんと私 (ページ48)

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何も知らないー和也×智ページ48

おいらは次の日
仕事でにのに昨日あったことを簡単に説明した
お見舞いに行ったこともね。
パニックを起こしてたことも
不安でいっぱいなことも本当はにのに会いたいことも
謝りたいことも．．．
おいらに胸のうちを話してくれたことも

和也『本当に申し訳ないです．．．』

智『にのはなにも悪くないよ？Aちゃんもね。本当はさ、Aちゃんにのに助けて欲しかったんだって、無理しなくていいって抱きしめて欲しかったんだって』

和也『．．．っ』

智『でもAちゃん、ちゃんと分かってるよ。にのの優しさ。いま必死でその高い壁を越えようと頑張ってる。』

和也『そうですか．．．』

智『だから慌てずににのもゆっくり行こうよ。おいらたちは傍にいるでしょ？』

和也『はい、ありがとうございます』

和也side

さとっさんから聞いたAの昨日の状況
相当気持ちが不安定なんだ．．．
俺らのことを心配してお見舞いに行ってくれたさとっさんには感謝しなきゃな。
でもパニックって．．．
さとっさん大丈夫だったの？
ビビンバは俺がピックアップして看護師さんに渡した紙に書かれてたものの一つ。
Aの大好物の一つ
すぐに対応して出してくれたんだ．．．
Aのための別メニュー
少しでもAが食べれるようにって努力してくれたんだ
本当にAも俺も恵まれてる。こんないい人たちに支えられて．．．

それなのに俺は．．．
なにもAのことを知らなかった
さとっさんが居なきゃ俺．．．
ずっと知らずに過ごしてたの？
兄妹だから一番知ってるはずなのに
知ってなきゃいけないはずなのに
俺は自分のことばかりで．．．

あの当時の俺は仕事にいっぱいいっぱいで
Aのことなんて全然．．．

あいつがなんで俺らから離れたのかも
なんで俺らから離れて韓国のグループを好きになっていま
あんなに追ってるのかも
まったく気にしてなかった
あいつの心の変化に．．．あいつの苦しい気持ちに．．．
気づいてやれなかった
ただ俺らに飽きただけだと思ってた
本当は苦しくって離れてたんだ
妹だから周りからも色々言われててきっといっぱいいっぱいだったんだと思う
でも俺はそんなことなんて一ミリも頭の中に浮かんだことなんてなくって
呑気だった

ちゃんと見ててやればよかった
いまからでも間に合う？いまからでも兄としてやり直せる？
こんな奴でも兄ちゃんだって言ってくれる？