▼羊が二十九匹 ページ34
(死ねクソやろう…、あんなやつ)
(もうなんでもない)
私はドンドン大股で歩いた
いつしか家につき、乱暴にドアを開けて、わざと足音をたてながら自分の部屋へ急いだ
(どっか行くなら勝手に行きゃいい)
(もう二度と会わない)
ベットにポフりと体を投げ込む
柔軟剤のかおりは、少しだけ苛立ちを静めてくれた
このまま寝ちゃえば、さっきのことも忘れるだろうか
ｺﾝｺﾝ
「Aちゃん？なにかあった？」
私の足音で気付いたのか、金木さんがドアをノックする
何て言えばいいのか分からず、私は返事を躊躇した
だって、金木さんにあのバカの話してどうこうなることはない
ましてや私たちの間のことなんてほとんど知らない人なんだから
話すこと自体迷惑かも
「……なにも」
届くか分からないけど、小さな声で言ってみる
「……お兄さんの、こと？」
でも、私がどれだけ考えて隠した事でも、彼は見抜いてしまった
これでもう、だんまりしか決められない。
「……あのね…僕は、君たち兄妹に何があったのかは分からない、でも」
「さっきお兄さんと話して…分かったことがあるんだ」
「きっと君も知らないことだから…だから」
「うっさい!!!!」
気付いたら、寝そべったまま怒鳴ってた
さっきもそうだ、バカが話してる途中で、聞いていられなくなって
「なんなの…なに知ってるって言うの!?」
「私のなにを!?ねぇ、なにを知ってるの!?!?」
「それは……」
ドア越しに声が聞こえた
申し訳なさそうに、暗い声
でも私は自分の感情が上手くコントロール出来ない、心はドンドン溢れだす
「だったら教えてよ……!!!!」
「大切な人を家族だと思ってた人に殺されたら」
「どーすればいいって言うの!?!?」
しばらく
ずっと、静かな時間が続いた
どうしようもなく、思い出したくないモノばかり
私は消せずにいた
今さらこんなこと聞いて、なんになるんだろう
でも、
答えてくれる大人が、説明してくれる人が
私には、あのときに
必要だったんだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
東京グールサイコー - 後半、マジ泣きしました。 (2019年8月25日 15時) (
レス) id: 2e6efde964 (このIDを非表示/違反報告)
小林 - 最初はギャグ路線で面白いなと思っていたんですが、後半部はもう泣きそうでした。愛されるってこんなにも美しく儚いものなのかと分からせてくれました。ありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2017年8月12日 18時) (レス) id: 12db5d571e (このIDを非表示/違反報告)
裕璃氷＠ＣＬ(プロフ) - 川神詠亜さん» レス遅れてすみません…!!ありがとうございます!!少しでも励みになれたらとても嬉しいです、これからも頑張ります!! (2016年4月15日 18時) (レス) id: aae3b068fb (このIDを非表示/違反報告)
裕璃氷＠ＣＬ(プロフ) - mocoさん» レス遅れてすみません……大丈夫ですよ!!ありがとうございました!!これからも頑張ります!! (2016年4月15日 18時) (レス) id: aae3b068fb (このIDを非表示/違反報告)
川神詠亜(プロフ) - あとがき泣きました。この作品に凄く励ましてもらいました。完結おめでとうございます。<m(__)m> (2016年3月21日 16時) (レス) id: cba0975e09 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：裕璃氷
| 作成日時：2015年11月8日 21時
