曇りのち花 ページ26
ミーティング解散後、切原君が真っ先に私の元へと走ってきた。
赤也「A!!お前、バスケの試合見れんじゃん?良かったな」
「うん、奇跡だと思ってる」
真っ直ぐ、キラキラとした目で切原君は私とバスケ部の再会を喜んでくれている…が。
そのキラキラとした太陽のような明るさでも、私のもやもやを消し去る事は出来なかった。
赤也「俺お前に見せたいもんあるんだけどよ、ちょっと歩くけど今いいか?」
「うん、大丈夫」
そう言って切原君と雑木林の方向に歩いていく。
いつもと変わらず、他愛もない会話をしながら20分程歩く…そこには
辺り一面に大きな花畑が広がっていた
赤也「ここすげーだろ?探索した時たまたま見つけたんだぜ!デルタの伝説の花畑に似てね?」
確かに言われてみれば…デルタの伝説の終盤あたりにでてくる花畑そっくりだ。
ちなみに、デルタの伝説とは主人公が魔王から姫を取り返すアクションアドベンチャーゲームである。
「切原くん…君は天才だ」
余りの感動にその場にヘナヘナとしゃがみこむ。
ふと、距離が近くなった地面を見ると、そこには偶然にも四つ葉のクローバーがいくつか生えていた。
こんなとてつもない幸福感を感じてしまって良いのだろうか。
ここで、もやもやの正体にようやく気づく。
あ、そうか私…
ここにいる皆とさよならするのが嫌なんだ
でも、大切なチームメイトの試合を見届けたい
両方の気持ちが大きくなって、でも両方取る事なんて出来ないからもやもやして。
「切原君」
俯きながら切原君の名前を呼ぶ
赤也「おう?」
「ここにこれてよがっだぁ」
赤也「泣く程の事かよ!?!!」
この上なく焦りながら必死に私の涙を拭く切原君
その光景はあまりにもシュールだったと思う。
今思えば、切原君の前では泣いてばかりのような気がした。
5日間でここまで心を開けたのは、間違いなく切原君が距離を詰めるために努力してくれた結果だと思う。
先程まで曇っていた私の心は大きく晴れ、幸せな気持ちが沢山咲き誇っていた。
もう少しここに居たい
「切原君もう少し、ここに居て良い?」
そう聞くと、彼は全力で笑って首を縦に振っていた_____
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作者名:あぽろろろろろ | 作成日時:2021年11月6日 19時