20‐よしよし返し ページ21
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__沢山の試作を作り続けて、もう午後23時。
普段ならとっくにお風呂に入ってる時間なのに、眠気は全くやってこなかった。
そうして出来上がった完成品。
最初は可愛らしいドリンクだったものが、今はもはやデザートに近しいものに早変わりした。
「おおーっいーじゃん」
「中々では? これなら女性層も期待できますね」
「Aさん、最後にもう一度お願いします」
青いソーダに、金魚をイメージしたラズベリー。
浮かべられたアイスはシュワシュワのラムネ入り。
一口で途端に口の中がパチパチと刺激される。
そして甘いクリームが後追いして喉を通過する。
「…うん! 美味しいです」
「決まったぁー!」
「終わりましたね」
「では、明日からこちらを目玉として売り出しましょう」
まさかこんな貴重な機会に参加できるとは。
アズール先輩が何度も対価の要求をせがんでくるので、仕方なく今日作った試作品を全て無料で受け取るという事で話は決着した。
「それじゃ、先輩たち、また明日!」
私と先輩は同じ寮でも、階が違う。
先輩はモストロ・ラウンジのすぐ隣のエレベーターで部屋まで直行だけど、私は店を出て少し歩くのだ。
早く帰らないと寮室が0時には閉まってしまう。
失礼ながらも、先輩よりも先にアップして店を出た。
「_…待って、A」
「………! フロイド先輩?」
「こんな夜中に危ないでしょ。送ったげる」
「えっ!」
店の裏口を出て数歩まで歩いた時、少し固い顔したフロイド先輩に呼び止められた。
そしてそのまま先輩は私の隣に並んで私を見下ろす。
夜で暗いから先輩の顔が良く見えない。
それのせいか、いつもよりも先輩との距離が近い気がした。
お互い、何を言う訳でもない。
私は、時々肩に触れる先輩の腕が熱くて、心臓の音を隠すのに必死だった。
「_A、今日はありがと。Aが居なかったら店開けれてなかった。
アズールも超感謝してたよ」
「そんな。先輩たちはもっと助けてくれてます」
「……あと、さぁ」
1年の寮まで到着して、玄関のほのかな明かりが先輩の顔を照らす。
そこで漸く先輩の顔が見れた。
__頬、赤い。
「やられっぱなしはヤだから」
頭を、大きな手がさらりと撫でた。
「おやすみ、A」
去っていくフロイド先輩。
……え、ちょっと待って。今。髪。
そんな赤い顔して、何してくれてんですかー…っ。
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おそらまめ(プロフ) - 森Shizuku?さん» コメントありがとうございます!高校生の時のあの青春って本当に素敵ですよね。その通りです、10話のタイトルはエースの言葉を代弁しました!何度もご覧いただき光栄です…。本当にありがとうございます! (2021年10月6日 11時) (レス) @page11 id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
森Shizuku?(プロフ) - このお話、何度読んでも素敵です。10話のところってエースの言葉なんですかね。深いし、みんなそれなりに高校生してるなと思いました! (2021年10月1日 20時) (レス) id: 7c267cd787 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 智真さん» 智真様、完結のお祝いありがとうございます!そうなんです、男子高校生をやってるフロイドくんが書きたかったんです…!そう言って頂けて感激です!監督生と2人の間に何があったかは、ご想像にお任せします(笑) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 華のフロランタンさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです(^^)また何かご縁がございましたらどこかでお会いしましょう! (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - モブサイコ100さん» 最後までご愛読ありがとうございます!オクタは本当に素敵な3人なので絶大な人気ですよね…!ここは沢山素敵な作品がございますが、読者様にとってこの作品が心に残る作品であれば幸いです(^^) (2020年8月26日 23時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年8月3日 1時