『元』 地味女の逆襲２

逆襲59 ページ15

溜息交じりに再びノートに視線を移す紫原。
それ以降何も言わない行動とは裏腹に、彼の背中から発せられるオーラが「単位落としても知らないぞ」と告げている。

黄瀬が呆れたように苦笑を浮かべながら、こちらを一瞥した。

いや、君も人のこと言えないから。


試験形式がはっきりしない今、対策は授業で習ったことを片っ端から復習するのみ。

スピーキングが出るかもしれないし、単語テストが出る確率ももゼロとは言い難い。

何より期末試験という名目通り、総復習としてスピーキングから単語、リスニングなど幅広く出題されることも十分考えられる。

いずれにせよ、書き取り聞き取りともに芳しくない現状では追試にひっかかってもなんら不思議ではないのだ。




「で、青峰くんはどうーーー⁉」




言い終える間もなく、彼のノートのページが視界に入った瞬間思わず絶句。英単語ーーーー
いや、英単語には必要不可欠なアルファベットの1文字さえ記されていなかった。

視界を覆うのはとりとめのない白地に黒の縞模様ーーでもない。



一応なんらかの文字はあるのだが、ノートにあるのはわけのわからないカタカナやひらがなばかり。
書き取りにムラが多いことからして、CDから聞こえた音をそのまま文字化したような感じだ。

何も書かないよりはマシと考えたのか、青峰自身は悠然としているがそんなことは五十歩百歩。

試験日が明日であること以前に中学生でも書けるような単語さえ書けていないのだからもっと危機感を持ってほしい。



「なんで青峰くん英コミ入ったのよ」



口から出た率直な質問。怪物揃いのキセキの世代の中でエースと呼ばれていた彼なら、プロのバスケットボールチームからスカウトを受けてもなんら不思議ではない。

仮にスカウトを受けていなくとも、壊滅的な学業成績でなぜ大学進学を選んだのか私には腑に落ちない所だった。

ほぼ100%通過できる指定校推薦でさえ、内申が良好でなければ推薦は来ない。いくら部活で好成績を残していたとしても、成績を含めた生活態度などが大きく影響するなら尚更だ。

続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←逆襲58

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す