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第二十一話△ ページ21
◇
きっとこれで、あいつと会えるのは最後なのだろう。
直感的にそう思った。
涙が零れるのは、今日くらい見逃して欲しい。
頭を撫でてもらえるのも、
照れ臭そうに笑う顔も、
幸せそうに私の名前を呼んでくれるのも、
優しく、抱きしめてもらえるのも、
全部ぜんぶ最後。
大きく息を吸う。
涙を拭う。
「ありがとう」
思いっきりあいつに向かって抱きついた。
昔と何一つ変わらない温かさ。
「たくさんごめんね」
伝えたいことを、ぜんぶ。
「ずっと忘れない」
ぐっと歯を食いしばる。
「……大好き」
消えそうな声と同時に、意識が遠のいていった。
あいつは変わらない笑顔。
泣いていたのは、気のせいではないのかな。
あいつは大声で叫んだ。
「わたしも大好き。ずっとずっと!!ありがとう!!」
ちゃんと聞こえた。
やっと、伝えられた。
◇
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作者名:碧季 | 作成日時:2015年12月22日 7時