9 ページ9
私が軽音部に入ろうと思ったきっかけは、坂田の言葉だった。
「音楽は１番おもろいし、奥が深いねん。
考えてることも嫌なことも全部歌えばどっかに言って、バカらしくなってくる。
…それにな、どんな部活よりも仲がいい。
みんなで協力しーひんと、軽音部は成り立たんから」
その言葉に酷く心を打たれて、入ったけど、楽しいのは楽しい。だけど、なにかが足りなかった。
友情というか、なんというか、いつもどこかピリピリとしている。この違和感は私の暴言に関係しているのか、と考えてみると、ここは自分の居場所じゃないのかも。なんて。
ボーカル担当の私。
ドラム担当の志麻くん。
ベース担当のうらた先輩。
ギター担当の坂田。
そして、ダメ出し、よかったこと。私達のことを１番理解してくれてるセンラ先生。
この5人が出会えたのも奇跡だと思いたい。
暴言も雑愛っていうものがいい。
セ「ストップ！！」
全楽器の音が止まり、沈黙が訪れる。
険しい顔をして、音を止めた先生からはいつもとはどこか違うオーラを放っていた。
セ「今日は練習やめよ。ぜんっぜんまとまってへん」
はぁ、と大きくため息をついた先生は椅子から立って、私達の前に仁王立ちをする。
怒られる。その予想とは反して返ってきた言葉は、意外にも優しかった。
セ「スイーツ食べに行こか」
『…ぇ』
セ「甘いもん食べて、この重っ苦しい空気どうにかしな、どうにもならんわ。」
な？なんてニコッと微笑みながらそう語りかける先生の言葉にみんなで顔を合わせる。
さ「もちろん先生の奢りやんな！」
セ「…ま、まぁそうやけど。ほどほどにしてな？そんなアホみたいに食うたアカンで？」
さ「っしゃ！やったな、A！」
『うん！』
う「なに？A甘いもの好きなの？」
『はい…！すっごく！』
し「ふーん、先輩にも可愛いとこあるんやな」
少し頬を赤らめてそういう志麻くんに、ニコッと微笑んで、でしょ？なんていたずら気味に言うと、でもそれ以外は可愛くない！と、私から顔をそらしてそう言った。
さ「軽音部さいこー！」
セ「軽い奴やなぁw」
こんな他愛もない会話が楽しくて仕方がなくて、軽音部に入ってよかった。そう思えた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 697人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「歌い手」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
タシア松(プロフ) - ぽにょさん» ありがとうございます！！最高の褒め言葉です、 (2022年9月25日 20時) (
レス) id: d89a5c0024 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにょ - 1話1話見るごとにきゅんきゅんしてもう最高です_:(´ཀ`」 ∠): (2022年8月8日 18時) (レス) @page14 id: b0029b04cd (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます！すごい嬉しいです！！！ありがとうございます！！この作品を好きだと感じてもらえることができてよかったです！ (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - な、な、な、なんだこの……神作者と神作品は！？ (2021年10月26日 2時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - 乘肄さん» 最高のお言葉ありがとうございます!! 完璧にかけたのなら幸いです、これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします (2020年5月19日 22時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：タシア松 | 作成日時：2020年1月12日 23時
