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「この子をかけて勝負しようぜ」
そう言われた瞬間、鳥肌がぶわぁとたった。
目の前で喧嘩されるなんて、不愉快だし、怖いし、そしてなにより私のせいってなると、嫌だ。
自分のせいで誰かが傷を追うなんて言語道断。
どうしてもそれだけは防ぎたくて、右足を勢いよく振り上げた。
「がっ…!!ってめぇ!!」
ぶんっと降ってきた拳にギュッと目をつむって衝撃を待ったけど、いつまでたっても、こない。
ゆっくり目を開けると、紅茶色の髪がちらりと見えた。
さ「おい、今何しようとしてん」
「いっ、いたたた!」
ぎゅぅぅと私に向かって振り下ろされた拳を強く握る坂田さん。男の手からは、ゴキゴキと普段なるはずのない、骨が折れるような音が聞こえた。
さ「次この子に手出したら、分かってるやんな?」
威勢のあるそんな一言で怖気づいた男は立ち去ってしまった。
さ「怖かったやろ!大丈夫?何もされてへん!?」
『だ、大丈夫ですけど…あの男の人の手の方が…。』
さ「あー、あれぐらい大丈夫やろ。」
う「坂田怒らしたら怖えぇもんなぁ。」
し「俺らでも勝てん」
ケラケラと笑う志麻さんは、凄い危機感が乏しい人なんじゃないか、と少し心配になるぐらいだ。
どれぐらい強いの、なんて思ったけど、確かに片手だけで相手の指の骨を折るぐらいの力を持っているんだから当たり前か。
じゃあ、さっきセンラさんと喧嘩したとき、センラさん本気で危ない状態だったんじゃないの。
急に心配になってきて、不安が私の頭を支配する。
…今すぐにでも叶うのならセンラさんのところに行きたいけど、さとちゃんが彼のそばにいるのか、と思うと気が重たくなって、行きたくなくなってしまう。
う「にしても、あの蹴り最高だったよ」
し「やばかったなw」
『なんか無意識に…。』
う「こわ!」
どれだけ痛いか知んねぇだろ、とコツンっと頭を軽く叩かれて、痛いです、と返すと、弱っなんて貶された。
『…不良ってもっと怖いと思ってました』
帰り道ポツリと呟いたその言葉にみんなピクリと肩を揺らして、ニコッと微笑んだと思うと、わしゃわしゃと少し乱暴に3人に頭を撫でられた。
う「お前可愛いな」
し「彼女にしたいねんけど」
さ「やばい、めっちゃ好き。」
口々に言われる言葉に、いちいち照れてしまう私は、男の子の免疫力が低いからなのでしょうか。
やっぱり不良って何言うか分かんないから怖い
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タシア松(プロフ) - 紫苑さん» こちらにもコメントしていただいてホントに感謝しかないです、、。ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします (2021年10月26日 6時) (レス) id: 63758ca099 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - ドソキでツボっちゃいましたWとても面白かったです!これからも面白い作品待ってます! (2021年10月26日 1時) (携帯から) (レス) id: d13b409c87 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - ちょこまみれさん» ありがとうございます! (2021年1月24日 13時) (レス) id: 2434cd9a85 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこまみれ(プロフ) - 素敵です (2021年1月24日 13時) (レス) id: 53f0e78d36 (このIDを非表示/違反報告)
タシア松(プロフ) - さとうさんさん» ハラハラできるようにかけていたなら良かったです…。少し自信がなかったので、。嬉しい褒め言葉本当にありがとうございます!これからも日々成長していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします!! (2020年3月29日 12時) (レス) id: 73485a3048 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タシア松 | 作成日時:2019年12月21日 19時