分からん! ページ14
夢中で走った。
頭の中がハテナでいっぱいだった。
前を走っていた仙石がそのへんのドアを開けて、2人で転がり込む。
ドアを閉めてしまった後で、人がいたらどうしよう、と思って顔を上げたら、そこは物置だった。
物が大量に積んであって、自由なスペースは1畳分もない。
仙石はその端っこに座り込んで、息を整えつつ自分の膝を見つめていた。
「・・・あんなの、隊長殿じゃない」
やがて聞こえた低い声。
それは、分かる。ほんの数度しか守沢千秋に会ったことがない私にも。
あの表情は鬼気迫るものがあった。
とても「正義の味方」を自称する人の顔ではなかった。
「少し前からおかしかったんでござる。あんず殿のことになると、目の色が変わって・・」
それただの恋煩いじゃね?
と思ったら、仙石が続けた。
「最初は、隊長殿もあんず殿に懸想しているのだと、さして気にしていなかったんでござるが、・・それにしては様子がおかしいんでござる。普段はいつも通りなのに、あんず殿が関わってくると人が変わったみたいになって」
「・・・・」
なにそれ。
あんずさんに恋したら人格まで変わっちゃうってこと?
魔性の女かよあんずさん。傾国美人。
ふと、逆先さんの言った「魔力」という言葉が頭をよぎった。
・・・いや、まさか。
そんな非現実的なことがあってたまるか。
あ、でも吸血鬼がいるし・・・ってあれはキャラだキャラ。
仙石はスマホをいじっていた。
南雲や高峯あたりと連絡を取っているのかもしれない。
自分とこのリーダーがあんなになってんだから、そりゃ誰かと話さなきゃしんどいよね。
しばらくして、はっと息をのむ音がした。
見ると、仙石がスマホを見ながら考え込むような顔をしていた。
「A殿、これ・・」
渡されたスマホを受け取って画面を見る。
それは上級生のトーク画面のスクショだった。
10数枚に及ぶスクショを順に読んでいく。
内容は、要するに、
この騒ぎに乗じて、彼らにとって邪魔な私が本当にアイドル科に必要な人材か試そうぜってことだった。
・・・嘘だ、と反射的に思った。
彼らはきっと、私のためだけにここまでのことはしない。
なぜかそんな確信があった。
・・・あ、でも、双子のあれと・・羽風さんのは、私のこと試してた、って言えるのかも?
うううん。分からん。
―――
れおぴの存在を完全に忘れていた……ごめんな……
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クラゲ(プロフ) - めっちゃ面白いです!続き楽しみにしてます! (2022年4月10日 15時) (レス) @page17 id: 3ba0a6e972 (このIDを非表示/違反報告)
アリサ - 続き楽しみに待ってます (2021年8月29日 19時) (レス) id: 2149cb42f2 (このIDを非表示/違反報告)
小林(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます〜!ですです!偶然にもどっちもswitchでしたね今気づきました( ) いつになるか分かりませんが気長にお待ちいただければ幸いです〜〜 (2020年5月1日 18時) (レス) id: 7024b5686c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 夢主ちゃんはつむぎに、あんずちゃんは夏目にってことですね...?学園内で何が怒ってるんでしょう(;−ω−)続き待ってます (2020年4月26日 14時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
小林(プロフ) - 碧月蒼さん» うわ〜〜〜んありがとうございます……正直このまま放置って考えてたんですけどそうやって言ってくれる方がいる限りできませんね……が 頑張ります… (2020年4月1日 18時) (レス) id: 7024b5686c (このIDを非表示/違反報告)
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