桃李と弓弦 ページ13
音を立てないようにしてドアを閉めた。
他のふたりと顔を見合わせる。
守沢先輩が守沢先輩じゃないみたいだった。
乙狩先輩が、「贄」なんていう、何だか不穏なことを言った。
Aに対して「逃げろ」と言った。
・・・守沢先輩はAを贄として欲しがっている。
でも、なんで守沢先輩が？なんのために？
朝から学院の様子がおかしいことと関係があることは間違いないと思うけど・・・
「・・・ボク、行かなきゃ」
「はあっ！？ちょ、ちょっと待ちなさい！」
ドアに向かうボクを、司が止める。
「何を馬鹿なことを言っているんですか！行ってどうするつもりなんです！？」
「無謀だと思うな〜・・宙達はここで大人しくしてるのが吉と見ます」
「でもっ、Aが危ないみたいだし・・あんずも心配だし」
司はふん、と鼻を鳴らす。
「貴方一人が彼女達のもとへ行ったところでどうにかなると思うのですか？愚鈍な桃李くんはせいぜい邪魔になるだけだと思いますね」
「なっ・・・！何様のつもり！？没落貴族の分際で偉そうに・・！とにかくボクは行くから！」
ドアを開けて、そのまま勢いよく前に踏み出す。
すると目の前に見慣れた制服があった。・・・青いネクタイ。
「司さまの仰る通りですよ、坊っちゃま」
弓弦はドアのすぐそばに立って、ボクを出すまいとしている。
こいつ、いつの間に。
弓弦の向こうの廊下を見ると、そこに乙狩先輩と守沢先輩の姿はなかった。
「どうかここで大人しくしていて下さいまし。坊っちゃまを危険な目にあわせるわけには参りません」
小さな子どもに言い聞かせるような言い方だった。
気に入らない。
「危険な目って何？なんでボクは知らなくて弓弦は知ってるの？ねえ、今何が起きてるのか説明して」
「今はお答えすることは出来ません。ですが誓って、坊っちゃまにとって悪いようには、この弓弦がさせませんので」
「それで納得するとでも・・」
「とにかく」
ボクの声は遮られる。
「わたくしがお迎えに上がるまで、ここから1歩も出ないで下さいましね」
バタン、とドアが閉められる。
弓弦のくせに、主人に向かってなんて態度だ。
追いかけようとドアノブを回したが、ドアはぴくりとも動かない。
窓だけじゃなく、ドアまで開かなくなってしまった。
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クラゲ(プロフ) - めっちゃ面白いです！続き楽しみにしてます！ (2022年4月10日 15時) (
レス) @page17 id: 3ba0a6e972 (このIDを非表示/違反報告)
アリサ - 続き楽しみに待ってます (2021年8月29日 19時) (レス) id: 2149cb42f2 (このIDを非表示/違反報告)
小林(プロフ) - ゆうさん» コメントありがとうございます〜！ですです！偶然にもどっちもswitchでしたね今気づきました( ) いつになるか分かりませんが気長にお待ちいただければ幸いです〜〜 (2020年5月1日 18時) (レス) id: 7024b5686c (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 夢主ちゃんはつむぎに、あんずちゃんは夏目にってことですね...？学園内で何が怒ってるんでしょう(；−ω−)続き待ってます (2020年4月26日 14時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
小林(プロフ) - 碧月蒼さん» うわ〜〜〜んありがとうございます……正直このまま放置って考えてたんですけどそうやって言ってくれる方がいる限りできませんね……が 頑張ります… (2020年4月1日 18時) (レス) id: 7024b5686c (このIDを非表示/違反報告)
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